大井川通信

大井川あたりの事ども

ジンベイザメに会う

僕が、サメが好きかどうかというと、微妙である。

以前、サメに関する本を二冊買ったことがある。一冊は写真集、もう一冊はサメの不思議みたいな入門書。ふつうサメの本とか買わないだろう。しかし、二冊とも古書店に処分してしまった。

食玩などでミニチュアの生物の模型がブームだったときに、カプセルトイでサメのシリーズを集めたこともある。このコレクションは今でも手元にあるが、この時は、昆虫だってクジラだって集めていたのだ。

地元の海水浴場の近くにシュモクザメが出る、という情報を何年も前から聞いているが、この情報には何の感慨も持たなかった。

近場の自然史博物館で、ウバザメのはく製(あるいは原寸模型)を見た時にはうれしかった。ウバザメはジンベイザメに続く巨大ザメである。もしかしたら、種類を問わず、大きい生き物に興味があるのかもしれない。そういえば、イカには食べることにしか興味がないが、ダイオウイカには関心がある。

そんなわけで、鹿児島にキスリング展を見に行ったついでに、水族館に寄り、ジンベイザメに会うことにした。この機会を利用しなければ、今生でジンベイザメを見ることはないかもしれない。

ジンベイザメは体長4メートルで、大きめのイルカくらいの大きさしかなかったけれど、風格はりっぱなジンベイザメだ。水槽の大きさで5メートルを超すと海に放し、漁師の網にかかった子どもをまた連れてくるのだという。成長すれば、この3倍の体長になる。

ジンベイザメは英名で、ホエール・シャーク(クジラザメ)というのを初めて知った。クジラを実際に見ることはないだろうが、ジンベイザメに会えたことに満足して、他はほとんど何も見ないで水族館を出た。