大井川通信

大井川あたりの事ども

カイツブリのゴミ屋敷

今年もババウラ池では、夏前にカイツブリのヒナを見つけることができた。例年とちがって水抜きもなく安心していると、ヒナも巣立った池に、親が一羽残っているのに気づいた。

道との境の灌木が切られてしまったために、丸見えの場所に浮き巣があるのだが、材料の大半がゴミやビニールで、まるでゴミ屋敷みたいだ。子育てが終わったはずなのに浮巣に座っているのは、人間でいう「空の巣症候群」みたいなものなのか、と初めは思った。

ところが次に見た時にも、浮き巣に陣取っている。こちらがジロジロ見るものだから、警戒して巣から離れる瞬間に、くちばしで枯草をかけて何かを隠すそぶりを見せる。「空の巣症候群」どころか、本格的に抱卵しているのだ。ゴミ屋敷なんていってごめんなさい。子育てのためにしっかりメンテナンスしている巣だったのだ。

図鑑を見ると、繁殖期は4月から9月までで、秋から冬に繁殖することもあるのだそうだ。ただし、しばらく観察してみたけれども、つがいの相手はこの池にはいないようだ。今まではたいてい二羽で子育てしていた記憶がある。いずれにしろ、これからちょっと目が離せない。