大井川通信

大井川あたりの事ども

『ここが変だよ地方議員』 小田りえ子 2015

民間企業から、政令市である川崎市の市会議員が一期目の在任中に出した本。トピックが見開き二ページにまとめられていて、その内容を解説する四コマ漫画と、女性の話し言葉による一行まとめがあるので、とても分かりやすい。

著者が民間企業在職中に地方自治体相手のコンサルタント業務に関わって、行政組織の特異さに驚き、なんのしがらみもなく地方議員の世界に飛び込んだというだけあって、地方議員や地方公務員の世界を、タコツボ化したムラ社会として見るという問題意識が一貫していてぶれない。

マンガでわかりやすいものにはなっていても、内容は堅実で正論をついている。国は議員内閣制で地方は首長と議会との二元代表制となっているという知識は漠然とあっても、だから地方議会には政党政治は百害あって一利なしという主張は、当事者ならではで、目からウロコが落ちた。

そのほか、議場での振舞いや、事前の答弁調整、地元行事への来賓としての出席のことなど、地方議員の仕事が本音で語られていて面白い。著者によるヘタウマのマンガも伝えようという思いが感じられて好感がもてる。

5年前の本なので、現在の著者を検索すると、川崎市議を二期務めたあと、全国の地方議員を支援するために起業したようだ。彼女の経歴からはなるほどというステップアップだし、官と民を行き来する自在なキャリアは、社会の風通しをよくするために必要なものだと思う。