大井川通信

大井川あたりの事ども

トコトコとペコン(続き)

数日して信号機の近くで、またあの女の子らしき姿を見つける。そのあたりは歩道がひろく、ベンチも設置してあるのだが、女の子は、誰か友だちを待っているのか、真赤なランドセルを広げて、中のモノを取り出している。

何をしているのだろう。子どものすることはわからないものだ、とほほえましく思いながらその脇を車で通り抜けた。

あとで知り合いの学校の先生にその話をすると、こんなことを教えてくれた。

担任が、忘れ物検査をきびしくやる先生だったりすると、まじめな女の子は、気になって、登校の途中で何度も持ち物の確認をしてしまうこともあるそうだ。かんじんの忘れ物の多い子どもの方は、まるで気にしなかったりするらしい。

あの涙も、忘れ物をしてしまった後悔からだったのかもしれない。そんな減点主義の教育に、女の子が小さな心を痛めていると思うと、僕は複雑な気持ちになった。