大井川通信

大井川あたりの事ども

古事記を読む(中巻)

 読書会で、中巻を読む。前半を扱った回は急用で欠席したので、議論に参加できたのは景行天皇からの後半だけだが、簡単にメモしておこう。

まずは、高千穂の宮から、神武天皇(カムヤマトイワレビコ)が、天下を治めるために東征して大活躍をする。道理で、僕の住む地方にもあちこちに神武のゆかりの地があるわけだ。

八代飛び越して、崇神天皇(ミマキ)。その子供が垂仁天皇(イクメ)。次が景行天皇(オオタラシヒコ)。景行の子どもが、有名なヤマトタケルである。ヤマトタケルは、勘違いから兄をひねり殺し、その乱暴を恐れた父から単身で全国の敵の討伐を命じられる。

ヤマトタケルは女装したり、友人に成りすましたりして敵に近づき、だましうちする。自分もだまされて焼き殺されそうになるものの難を逃れるが、最期にはイノシシに化けた山の神を見抜けずに命を落とす。死後白鳥となり飛び立つが、それを追って嘆き悲しむ親族らの感情表現はストレートで、今の抑制的な日本人とはちょっと違う。

景行のあとは成務天皇(ワカタラシヒコ)。武内宿禰(タケウチノスクネ)を初めての大臣(オオオミ)とする。成務のあとは、ヤマトタケルの子の仲哀天皇(タラシナカツヒコ)。筑紫の香椎で天下を治めたため、僕の地元では、トンネルの名前にもなっている。

仲哀は神託を軽んじた祟りで亡くなり、その妻神功皇后(オキナガタラシヒメ)が神託に従い朝鮮半島に兵を進める。渡海後、神功皇后が子どものホムダワケ(応神天皇)を生んだのが宇美といった具合で、地元にゆかりの旧跡が多数あるようだ。

応神の時代には、渡来人が多くやってくる。応神の死後、子どもたちは争うが、弟のワキイラツコが船頭になりすまして兄の一人を返り討ちにする。応神の意志を守ろうとして、オオサザキ(仁徳天皇)は弟に天下を譲ろうとするが、ワキイラツコは若くして亡くなってしまう。

とにかく兄弟間の争いが多い。兄弟は他人の始まりというけど、利害の反する全くの他人扱いだ。兄弟間の譲り合いのエピソードが奇異に感じられるくらい。

人間は言葉を持つと同時に、ウソやフィクションを語る能力を身につけた。争いごとでウソをついて相手をだまし自分の利益を得るのは、人間特有の能力で、神話の中ではむしろそれが誇示されている。 

ウソやだましが道徳的に断罪されて、真実やルールが重視されるのは、秩序が安定し、ヒトが安定した組織内で協力して生きるようになってからだろう。

 

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