大井川通信

大井川あたりの事ども

里山の王者ノスリ

今回、津屋崎まで歩いて、うれしいことはたくさんあった。モチヤマの人から話が聞けたこと。山道がまだ通じていたこと。対馬見山に登れたこと。富士白玉神社を再訪できたこと。しかし、最大の喜びと驚きは、山道を下って、モチヤマの明るい棚田に戻ってきたときに訪れた。

そこは森に囲まれた棚田が段々に続いていて、まったく人気のない場所だ。3、4年前にここを歩いたとき、ノスリというタカと出会ったことが印象に残っていて、さして期待はせずに周囲の森を見回してみる。

すると常緑樹の単調な緑を背景に白い毛玉のようなノスリの姿があった。以前と同じ場所で同じように、棚田を見下ろしている。

ノスリはトビほどの大きさだが、白くでっぷりしていて、木々の目立つ場所にとまる。人が近づいても悠然と飛び立ち、分厚い羽根を広げて低く旋回したあと、少し離れた枝に戻るだけだ。野ネズミなどの獲物が出て来るのを見張っているのだろうが、自分の姿が見られることを少しも恐れていない。

まさに王者の風格。まいがいなくあの時のノスリだと確信して、山歩きの疲れを忘れてしまった。

  

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