「ぐるっとまわって、ビッグウェイ♪」のことを、妻に話してみたら、長男は別の作詞作曲もしていたと言って、こんな節を口ずさむ。
「トンネルから~♪ さようならのこと♪」
そうだった! 知人の子どものトンネルエピソードに触発されたなら、こちらをまっさきに思い出すべきだったのだ。人間の記憶など実にいい加減なものだと思う。ただ、いい加減だからこそ、思い出すときの喜びや驚きがあるのだろう。
長男もまた、トンネルが好きだったのだ。車でドライブに行って、トンネルを通り抜けたあと、きまって自作のこの歌を口ずさんでいた。僕の耳にも、このメロディーがこびりついているから、かなり長い期間歌っていたのだろう。
トンネルから抜け出して、トンネルにさようならをする、という意味だろうか。
長男は、そのほかにも、ドライブのことを「ダイヤイユ」、BMBのことを(あのエンブレムからの連想だろうか)「マルハメ」、家の自動車のことを「パパブッブー」、と呼んでいた。本人も覚えていないにちがいない幼児言葉は、親にはことのほか懐かしい。