大井川通信

大井川あたりの事ども

What と Way

マネジメントの教科書で、日本の組織は、部下への機会の与え方を支援の仕方において、弱点があるということを書いてあった。

肝心なのは、適切な課題(What)と同時に、それをいかにしてやるのか(Way)というコツを教えるということだった。そして、そのコツによって一通り課題ができるようになってから、初めて理由(Reason)を教えて自分で考えさせるのがいい。そうすると、次からはその理由に基づいて自分で仕事をすすめることができるようになる。だいたいこんな内容だったと思う。

これは組織の中の上下関係でなく、自分が生活の現場で独学で学んでいくときも役に立つプロセスであると思った。

たとえば、大井川歩きで、炭鉱の坑口跡を何年も探していたときに、里山の谷あいの炭鉱跡をいくら探しても何もでてこない。その時、ある炭鉱マニアのHPに坑口を見つけやすい場所として、谷に沿って上がったところ、という記述を見つけた。

素人考えだと地中に入る坑口は、地面の低いところにあるはずだという先入観があった。坑口探しの名人の「助言」にしたがい探索範囲を今まで除外していた沢の上部に広げると、あっさり古い坑口を見つけることができた。そうして実際の発見のあとに、なぜそうした場所に坑口が掘られているのかを、じっくり考えていくことになる。

今は、近所の低山の登山を見よう見まねで試みているところであるが、何度も道に迷う失敗を重ねながら、ネットでの先達の書き込みから学ぶことが大きい。その中でも、「峰をはずさないように」歩くというアドバイスが役に立っている。なるほど、峰はたいてい歩きやすい山道になっているし、山頂はまちがいなく峰をたどる先にあるからだ。一方峰から下りてしまうと、そこは手がかりのない迷路のような山林が広がっている。

そのほか、鳥の見つけ方なども、ベテランのアドバイスがあれば、かなり簡単に目当ての鳥に出会えるようになる。なるほどコツとセットでなければ、課題の成功はほとんど偶然に左右されることになってしまうだろう。