突然、僕の身体に異変がおこる。
身体の内側で、ボール状の異物が動き回り、皮膚がボコボコと波打ち始めたのだ。足から腹へ、腹から胸へ。
SF映画で、エイリアンの子どもが体内に入り込んで、皮膚を突き破って出てこようとするシーンがあるが、ちょうどあんな感じだ。その映画の場面が、わが身に振りかかるとは信じられないが、皮膚がボコボコと隆起する感覚は強烈で、事実なのはまぎれもない。どうしよう。
やがて、夢うつつの僕に、別の感覚がやってくる。僕の寝室に紛れ込んだ猫のリボンが、僕の掛布団の上を歩き回りながら、前足を交互に踏みつける例のフミフミをやっているのに気づいたのだ。
体重3キロにみたない子猫の軽めの「指圧」なのだが、夢の世界では、体内に入り込んだ恐ろしい異物の胎動へと変換されたのだろう。