大井川通信

大井川あたりの事ども

青葉若葉の日の光

毎年当たり前に受け取っている季節と自然の変化だけれども、今年は、鳥や虫以外にもできるだけ気に留めてみたいと思っている。

4月の後半くらいから、気になるようになったのが、里山の新緑の勢いだ。ほとんどが常緑樹のはずだが、この季節に新しい葉をいっせいにつけるのだろう。黄色に近いような若葉のかたまりがあちこちで頭をもちあげている。

例年、山を見て、美味しそうなカリフラワーみたいだと思うのが今の季節だ。この時期以外では、そんな印象を受けないから、新緑の山ならではの景色なのだろう。

「あらたふと青葉若葉の日の光」

この時期の山をみると、芭蕉の『おくのほそ道』のこの句を連想する。新緑のカリフラワーが最も美味しく見えるのは、明るい日光に照らされているときだから。なんとまあ尊く美しく見えるのか、と。

日に照らされた新緑の下の薄暗がりで、海をわたってきたキビタキの声が聞こえだすのもこの頃だ。今年、子どもの笛の練習のような初々しい鳴き声を初めて耳にしたのは、4月24日、大井炭鉱付近の林だった。