大井川通信

大井川あたりの事ども

新型コロナウィルスに感染する ③(ホテルの迎えが来る)

妻から二日遅れて、僕と次男がホテルに缶詰めになることになった。妻の出発には、二人はPCR検査で立ち会っていない。物々しいバスがくるから、できたら家から離れたところで待ち合わせした方がいいというのが、妻からのアドバイスだった。 

それで近所の街道沿いの空き地を指定したのだが、やってきたマイクロバスは、隔離された運転席に大きな空気清浄機みたいなものが目立つくらいで、旅館の業務用バスみたいだった。

すでに二人の男性が乗り込んでいて、僕たちの後に普通の主婦みたいな女性とやや若い女性をひろって、合計6人で天神の街中のホテルに向かう。みんな黙っている。

偏見かもしれないが、乗車している人たちは、生活上のリスク管理に甘そうな人たちに見えてしまう。これから10日近くの生活なのにビニール袋一枚の手荷物だけのおじさんもいた。

そうは言っても僕たち家族にとっても全く回避不可能なリスクだったのだろうか、やりようもあったはずだという思いが心を暗くした。いつも見ているはずの国道沿いの車窓風景が、特別に見える。

とはいえ、この日は、僕も熱が下がって体調は悪くなく、この後3週間の激動を全く予想できていなかった。