大井川通信

大井川あたりの事ども

温泉三昧

病院ではあちこちに点滴をさされたが、点滴を入れにくい血管らしく、看護師さんたちもみな苦労していた。ひどいかゆみで皮膚をかきむしったりもしているから、僕の腕には小さな傷がたくさんある。

それで、温泉に入って、傷をいやそうと考えた。幸い地元には、源泉かけ流しのいい温泉がある。「湯治」なんて言葉が頭に浮かぶ。そうだ、湯治をやろう。

問題は、身体の表面の傷ではなく、コロナウィルスによる肺炎で傷つけられた肺や、大量にいろいろな薬を流し込まれた身体全体のコンディションだ。しかし、これは自然の治癒力、回復力にまかせるのみで、なすすべがない。

温泉というのは、どこまで正しいのかわからないが、いろいろな効能がうたわれているし、実際に湯治という習慣があるのだから、お祈りやまじないの類よりは実際的だろう。

それで、退院直後は、つとめて温泉に入った。たしかに気持ちがいいし、身体にもよさそうだ。しかし、三日坊主。仕事の疲れがたまり出すと、温泉に立ち寄る気がまったく起きなくなる。もっともこれは、自宅の持ち物の片づけをすることの優先順位が高くなったためでもある。