大井川通信

大井川あたりの事ども

田島様まで歩く

かつての聞き書きなどを読むと、かつて近在の村人や子どもたちは、大きなお祭りのときなど田島様(宗像大社)まで平気で歩いていたようだ。大井川歩き復活のイベントとして長距離を歩きたいが、今の体調では里山に入るのは不安がある。田島様までは片道4キロで往復の限界に近いが、道のりは平たんで、人家も尽きない。

まずは地元の和歌神社にお参り。本社に礼拝したあと、その脇に並ぶ小さな社に順番にお参りしていく。そして最後に振り向いて、ヒラトモ様の鎮座する山頂に頭を下げる。かつてのこの作法を教えてくれたのは誰だったろうか。ヒラトモ様まで上がるのはまだ先のことになるだろうが、正式の遥拝をして、良い気分になる。

水をはった田んぼに見渡す限り、ダイサギが点在している。普段はアオサギの色合いのほうが目をひくが、緑の水田をバックにすると断然シロサギが目立つ。南国(亜熱帯)的な風景だと思う。

田島様にお参りして、帰りかけた時、急に右足の指の付け根が痛くなって、歩きにくくなる。試しに簡単なストレッチをすると、あっけなく痛みがひいてしまった。衰えた身体をだましだましコントロールする技術を身につけなければと思う。

この時期、田んぼの電線には、ホオジロが多い。ある個体に双眼鏡を向けた時、少し違和感があった。首の回りに濃い茶色のエプロンみたいな帯があったのだ。戻って図鑑を確認すると、たしかにホオジロには首から腹にかけて薄茶色一色で、帯などはない。

初めて見るホオアカだったのだろうか。それともカシラダカ。まだまだ鳥見にも修行が必要だ。

ハシボソガラスが数羽で畑地におりているが、これにもちょっと違和感が。一羽が一羽に向かって口を開いて追い回すような仕草をするのだが、追われる側のカラスは頭が海坊主のように巨大なのだ。その場を離れると普通のハシボソガラスの見た目に戻ったので、頭の羽を逆立てていたのだろう。帰り道には、同じカラス同士が、民家の屋根の上でくちばしでつつき合っている。求愛行動の一種だったのだろうか。

二時間半かけて家に戻る頃には、天気予報通り小雨が降りだしてきた。玄関先のケヤキの下でバットと木刀を振る。すぐに大きく成長するケヤキはやっかいだが、夏には日陰をつくり、雨宿りの場所にもなる効用がある。