大井川通信

大井川あたりの事ども

ボンちゃんの誕生日

七夕は、ボンちゃん(リボンちゃん)の誕生日だ。女の子らしくていい誕生日だと思っている。

今日で、ボンちゃんも一歳になった。家族になって、ちょうど半年である。先輩猫の九太郎との関係もそれなりに落ち着いてきた。日中は、たいてい妻の机の回りに一緒にいるが、特別な場合でないと、にらみあったり喧嘩したりすることもなくなった。

よく観察していると、二匹の間には、暗黙のルールみたいなものができていることに気づく。

僕が、そとからゲンゴロウのはいったビンを持ち込んだときのことだ。朝起きてみると、九太郎が玄関わきの棚にあがって、じっとビンの中のゲンゴロウを見つめている。一晩中、見ていたのかもしれない。よく動く虫を目の前で見ることができて、興味津々だ。

リビングの床に下ろしてあげると、あいかわらずにビンから離れないが、きっちり30センチの距離を保っているのが、繊細くんの九太郎らしい。

そこへボンちゃんがやってくる。こういうときは、九太郎が、うーっと威嚇する。ボンちゃんはひるんで、後退する。しかし、すぐそのあとで、九太郎は、棚のかげに移動して、何食わぬ顔で身体を舐めたりしている。あれほど、ゲンゴロウに執着していたのに、わざとビンの見えないところに移動したのだ。ボンちゃんにゆずったとしか思えない。

ボンちゃんは、九太郎とは違い、ビンに近づいて、臭ったり、触ったりしていたが、やがてあきてその場を離れてしまった。

誕生日用の猫のケーキを買っておいたが、妻がいっこうに準備しないので僕は寝てしまい、九太郎の一歳や二歳のときみたいに家族で祝うことはできなかった。人間でも猫でも、二番目の子どもにたいしては、どうしても雑になってしまうみたいだ。