大井川通信

大井川あたりの事ども

ハイフローセラピーについて

お世話になった病院から連絡があって、入院の個人負担分の請求書の準備ができたという。さっそく窓口に行って支払うと、領収書には、12頁にわたる診療明細書がついていて、入院中の治療の全貌がわかるものになっていた。

処置料の明細には、6月3日から7日まで、「ハイフローセラピー」の記述があって、その前後の「酸素吸入」とは液体酸素の消費が一桁違う量になっている。これは、僕の記憶やメモで、大量の酸素を吸入する装置を装着していた期間と一致するものだ。

僕が退院してから見たテレビの番組で、この「ハイフローセラピー」(「高流量酸素療法」もしくは「ネーザルハイフロー」)が、コロナの中等症の患者への新しい治療法として紹介されていたが、僕もその恩恵を受けていたことになる。

通常なら人工呼吸器を使うような重い症状に対しても、鼻に差し込んだ専用の管(カニュラ)を通して大量の酸素を吸入することで、人工呼吸器に近い効果を期待できるものだそうだ。

この装置自体は近年急速に普及したもののようで、コロナによる肺炎の治療で今になって注目されているというのは不思議な気がするが、ネットの記事で探ってみると、この装置の使用は、エアロゾル(飛沫)による院内感染の危険性があるとして、最近まで推奨されなかったようだ。ところが、実際には治療に効果があり、感染対策を施した上で取り入れる病院が増えてきているということらしい。

長男は主治医から気管挿入やエクモの可能性も聞かされていたようだが、もしこの「ハイフローセラピー」が避けられていたら、より身体への負担の大きな治療になって入院が長引いていたかもしれないし、そもそも一気に重症化して助からなかったかもしれない。

認可薬の「レムデシビル」の使用や「ステロイド剤」の大量投入といった、最近になって確立された治療法によって何とか回復できたと思っていたが、ハイフローセラピーの採用にも助けられていたのだ。あらためて、綱渡りのような治療を受けていたことを実感する。