大井川通信

大井川あたりの事ども

長男の引っ越し

二年前の12月に、新卒で就職した会社を辞めて家に戻ってきた長男が、今日家を出て博多の賃貸マンションに越していった。いろんな感慨がある。

僕も初めの会社を3年で辞めて、実家にころがりこんだ。結局3年半ばかり実家暮らしをして家を出た。たいした親孝行はできなかったが、いっしょに暮らせるだけで親は嬉しかったのかもしれないと今は思う。

長男の場合、2年弱で実家を出て行った。ちょうどコロナ禍に重なったから、再就職の活動は出遅れたが、昨年9月には新しい会社に就職して家から1年間通勤した。大半は在宅勤務だったから、就職後も家にいる時間が多かったことになる。

再就職に関しては、本人に確たる考えがなかったので、自分の好きなこと、やりたいことを軸にするようにアドバイスしたけれども、これは結果的に間違いだった。コロナ禍でその業界の打撃が多かったことに加え、今は転職市場が大きく、そこでの仲介業者が十分頼りになったのだ。前の職歴を活かして、レアメタルを扱う時流に乗った企業にステップアップできた。もう父親の出る幕はないと思い知る。

コロナ禍で家でうつうつとしていた妻の話相手になってもらい、ずいぶん助かったところがある。極めつけは、家族の三人がコロナ感染症で家を出た時に、一人家を守って獅子奮迅の働きをしてくれたことだ。これで家族の絆がすっかり強くなった。長男も、次男を誘って休日に二人で温泉にいくようになったし、ドライバー役で妻の買い物の手伝いをすることも多くなった。

長男も、猫のいる家庭の暮らしを満喫しただろう。こんなに猫好きならば、子どもの時に飼っていてあげたらと思う。

引っ越しは、長男がワンボックスを借り、家で引っ越し荷物を積んで、次男を助手席にのせる。僕と妻とは、残りの荷物を載せた自家用車で後を追う。コインパーキングに停めた車から、長男、次男と僕で台車で何往復もして荷物を8階の部屋まで運んだ。

家族でよく遊びに来たキャナルシティの近くの新築のワンルームマンションで、住環境もスッキリしている。これなら近くて安心と妻と喜ぶ。ただ、ホテルのシングルの部屋みたいな家では落ち着かない、やはり地面と自然がなければ、というのは田舎暮らしの長い夫婦の共通の意見だった。