大井川通信

大井川あたりの事ども

こんな夢をみた(老画家の家)

仕事の仲間と、ある老画家の家をたずねる。一つ目の部屋には蔵書があって、その画家の分厚くて古い画集も置かれていた。得意の構図だったのだろうか、風に吹かれる松の木を描いた絵がカラーページで何枚もあった。なかなかいい絵だったが、どこかで見たことのある絵のように思えた。

二つ目の部屋には、壁一面サザエさんの本が並べてあるが、これは僕には想定内だった。画家は、サザエさんの研究家としても知られていたのだ。

屋敷の真ん中の大きな居間はまったく変わった作りで、庭に面して全面ガラス張りの引き戸なのだが、それが半円形でゆるくカーブを描いている。こんな薄いガラス戸だけで風雨をしのげるかと心配して、戸に手をかけると、ガタガタと音を立てる。しかし、外側には雨戸がしまるようになっているから大丈夫なのだろう。

庭にふと大きな犬が二匹あらわれる。散歩の途中まぎれ込んだらしい。

庭は、いまではもう手入れがされていないが、居間からの眺めは見事だ。いつのまにか主人である老画家が現れて、いろいろ説明してくれる。奥さんを亡くされてお手伝いさんといっしょに暮らしているらしい。もうここでの生活は無理と考えて、家の処分のために僕たちをここに呼んだようだ。

長いわたり廊下を伝って、入口まで戻る。ボコボコとひどく段差のある廊下で、何度も足を取られそうになる。老画家も見送りに来てくれた。