大井川通信

大井川あたりの事ども

介護初任者研修5日目と6日目

5日目は、移動に関する実技のある研修だった。ほんのさわりの部分の学習なのだろうが、ボディメカニクスの考え方には目を開かされた。

支持基底面が広いほど安定性を増すが、狭いと不安定になるかわりに運動性を増す。だから寝返りをさせるときは、利用者の身体をできるだけ小さくまとめた方が、小さな力で動かすことができる。

椅子から立たせるときには、できるだけ身体をつけて重心を近づけて、持ち上げるのではなく、手前に引くようにすると楽に立たせることができる。

介助する方が力を入れれば、その分だけ相手にも力が伝わって痛い思いをさせることになる。相手の身体の広い面に手のひらを開いて支えることを原則とする。

6日目は食事の介護の学習であり、ここでも利用者本位の介護の仕方を教えられた。自分のペースでなく、あくまで相手の食べやすくのみこみやすい分量とタイミングで食事介助を行うこと。たとえ面倒でも、相手のできることは相手にまかせて、できるだけ自立できるように援助すること。

講師の方々は実践者だから、豊富な経験談を交えた説明には説得力がある。それぞれタイプはまったく違うが、介護の現場で20年ほど働いてきた人たちには、どこか共通点がある。一言でいうと、うわべのものでない「やさしさ」が身についているということかもしれない。