大井川通信

大井川あたりの事ども

人を呪わば穴二つ

他人に害を与えれば、必ず自分にかえってくるということ。他人を呪い殺せば、自分も相手の恨みの報いで呪い殺され、結果墓穴が二つ必要になるということから。漠然と口にしてはいたが、意味まで調べたことはなかったので、こうまでダイナミックかつダイレクトな意味を封じ込めたことわざであるとは思わなかった。

読書会で、大澤の本を悪く言いすぎて(さらには、その発言の通りをブログに書いて)気分がすっきりするどころか、その毒にあてられたのか嫌な気持ちになってしまって、この言葉を思い出した。いつもはせいぜい、「物言えば唇寒し秋の風」(ちょうど今は秋が肌寒くなる時分)が口について出るくらいなのだが、唇が寒いくらいの語感ではちょっと物足りない。

年齢を重ねるようになってから、どうしても受け付けないというか、許しがたいと思えるような本が増えてきたような気がする。比較的評判が良かったりする本の中にも、そんな気持ちをおこさせるものがある。

これは一方では、自分の感性や思考が柔軟性を失ってきていることの現れだろう。アンガーマネジメントによる治療が必要だ。自分と違う考えや、自分の理解の及ばない存在があるのは当たり前で、それらが間違っていたり劣っていたりするわけではないことは、冷静になってみれば自分にもわかる。

にもかかわらず、この「許しがたさ」には、言葉や思考をめぐって自分なりに生きて考えてきたことの中核の部分がかかわっているような気もする。そこだけは、(まだ体力と知力が残されているうちに)きちっと取り出しておきたい気がする。それができたら、むやみやたらと相手を否定しなくてもよくなるような気もするのだが。

 

ooigawa1212.hatenablog.com

 

ooigawa1212.hatenablog.com