大井川通信

大井川あたりの事ども

馬群に沈む

先頭を走っていた馬が、第四コーナーを曲って最後の直線を走っているときに、徐々に後ろから来る馬につめられて、集団の中に埋没していく。これを「馬群に沈む」というのだが、実際にレースを見ていると、まさにこう表現するのがぴったりで、これ以外の言葉はないと気づくのだ。

一つのジャンルには、そのジャンルの専門用語というものがあって、それを一つ一つ身につけていくのは面白い。

人間の陸上競技では、レース途中までの大きな差をゴール近くで取り返すことはほとんどないだろう。しかし、馬の世界では、これを「差す」と呼んで当たり前のことであり、これ専門の「差し馬」がいるくらいだ。

しかし、差すためには「足が残って」いないといけない。レース中盤の「折り合い」ということを騎手が話すことが多いけれども、それによって最後に足が残るのかがきまるのかもしれない。しかしこのあたりはまだまだ僕は勉強中で、はっきりわからない。

今週も前週に引き続き、大きなレースがあって、始まりの時間を楽しみにまった。「無敗の三冠馬」コントレールの引退レース。まだ初心者だから、当然こうした歴史的名馬を応援する。

今年になってまだ勝利のないコントレールは、様々な悪評を打ち破って、最後に力強い走りで見事に勝ち切った。騎手の男泣きに、思わずもらい泣きする。