大井川通信

大井川あたりの事ども

ノルアドレナリンとアセチルコリン

登録販売者の試験勉強では、人体の構造や働きの分野も出題範囲になる。あらためて、身体の内部については、これだけ身近なものであるにもかかわらずごく初歩的な知識すらないことを痛感する。人間にかかわること全般にはそれなりに知識や思索を積み重ねてきたことを考えると、明らかにバランスを欠いている。

薬についても、医薬品の販売名ごとにそれぞれ別の単一な薬効があるくらいに思っていた。風邪ならパブロンを愛用していて、それが一番効くみたいに思っていた。薬の働きについても、細菌などを殺すものだろうというイメージくらいしかなかった。

神経系には、中枢神経系(脳、延髄、脊髄)と末梢神経系(体性神経系と自律神経系)とがあり、無意識に働く身体の機能を担っている自律神経系には交感神経系と副交感神経系とがあると言われれば、なんとなくそうだった気もする。

交感神経系が「闘争や恐怖」の緊張状態に対応し、副交感神経系が「食事や休憩」の安息状態に対応するというのは、全くの初耳だが、面白いし覚えやすい。だから、前者が活発になるときは、瞳孔が大きくなり、心拍数が上昇し、気管は拡大し、排尿が抑制される。一方、後者が活発になると、瞳孔が収縮し、血圧が下がり、胃液が出て、排尿が促進される。

交感神経系の効果器への神経伝達物質ノルアドレナリン。副交感神経系の伝達物質はアセチルコリン。医薬品の勉強をすると、交感神経系の働きを増すためのアドレナリン作動成分と、副交感神経系の働きを抑える抗コリン成分というものが頻出する。

これなど基本の基本なのだろうが、医薬品が、人体の精妙な働きを微妙にコントロールすることで、身体に効果をもたらそうとするものであることを了解できた。