大井川通信

大井川あたりの事ども

隙自語

ネットスラングで、ネット上の掲示板などで使われる言葉なのを、最近知った。スキジゴ」または「スキアレバ、ジブンガタリ」と読む。

意味は、まさに、「隙あれば自分語り」ということで、匿名の掲示板などで空気を読まずに自分のことを長々と語ってしまう嫌われる行為を指す。

匿名の相手の興味をもてない自分語りなど、マナー違反だというのが面白い。ネットの片隅の片隅で、こうした自分語りを盛大にやっている自分には、「刺さる」言葉でもある。自戒しよう。

もっとも有名人の自分語りや、無名でも適切で面白い自分語りについては、賞賛される傾向もある。この二つがはっきり分かれるのはなぜだろう。

人間の自己は、他者に同一化する欲望と、他者から認められたいという欲望との、二つの真逆の欲望の積み重ねによって作りあげられる、というのは僕の信奉するソシオン理論が明確に描いているところだ。まあ難しく言わなくとも、ちょっと振り返れば、誰にでも思い当たるところだと思う。

自分が同一化して養分にできるような自分語りならOKだが、たんなる承認欲求しかみえない自分語りなどウザいということだろう。実生活上なら、相手の自分語りに無理して付き合わないといけない場面も多いが、ネットの世界ではごめんだということでもあるだろう。

ただ、自分の考えは、自分を掘り下げることしか出てこないのは確かだ。隙自語が一般的に軽蔑される環境というのは、自分の考えを育むことにはマイナスに作用するかもしれない。