大井川通信

大井川あたりの事ども

チョウゲンボウについていく

大井の枯れ田の中を歩いていると、街道沿いの電柱のてっぺんに見慣れない鳥がとまっているのが目についた。シルエットはタカなのだが、トンビほどは大きくない。以前、このあたりでノスリを見かけたが、そんなに立派な体格でもない。

双眼鏡で確認すると、身体のわりに大きな頭には鋭く曲がったクチバシと、ほおひげみたいな黒い模様が目だって、ハヤブサみたいな顔立ちだ。茶色の背中にも白いお腹にも、細かいウロコ模様が見える。小型のハヤブサチョウゲンボウだろう。

もっと近づいて観察しようとするとパタパタとゆっくり羽ばたき、電線伝いに飛んで、何本か先の電柱の上にまたとまる。これを何回か繰り返したら、けっこう遠くまで来てしまった。暮れかけた冬の野原には冷たい風が吹き出している。僕は小さな収穫に満足して、家に戻ることにした。