大井川通信

大井川あたりの事ども

つばめが来る日

3月13日に、近所の旧街道の商店街で車を走らせていると、くるりと糸をひく鳥の影があって、あっ、つばめだ、と思った。ツバメの来た日は、日記などにメモしておくこともあり、たいてい3月の中旬の今頃である。

僕はまんぜんと季節のあれこれを迎え、また送り出すことが多いが、つばめがやってくる日の事は、鋭い区切りのように毎年印象付けられている。あとは、ホトトギスのやってくる日。そして、ツクツクボウシの鳴きやむ日。

そうして、つばめを見ると思い出す丸山薫の詩、「北の春」。

 

どうだろう/この沢鳴りの音は/山々の雪をあつめて/轟々と谷にあふれて流れくだる/この凄じい水音は

緩みかけた雪の下から/一つ一つ木の枝がはね起きる/それらは固い芽の珠をつけ/不敵な鞭のやうに/人の頬を打つ/やがて 山裾の林はうつすらと/緑いろに色付くだらう/その中に 早くも/辛夷の白い花もひらくだらう

朝早く 授業の始めに/一人の女の子が手を挙げた/―先生 燕がきました