大井川通信

大井川あたりの事ども

片付けられない男

今は実務から離れてしまったけれども本業は事務屋さんなのだが、とうとう最後まで書類を扱うのが苦手なままで終わってしまった。紙から電子データへと移行した時代だが、旧態依然たる職場なので、最後まで紙の情報が主役だった。

情報を加工するという実務に追われているときには、それなりに整理しないと仕事にならないから気づかなかったが、実務から離れると、自分がまったく情報を扱うのが苦手だということを発見する。紙がそうなら、当然電子情報も。仕事もそうならプライベートな身の回りも。

両親は、とてつもなくきれい好きで整理整頓が行き届いた人たちだったのだけどなあ。小さい家で幼いころから秩序を頭ごなしに植え付けられたために、その反動でこうなったと考えていた時期もあったけれども、同じような条件できれい好きを引きつぐ人もいるだろうし。

だから、職場では、転任がきまり引継ぎの直前で、ようやく本来の情報の整理と秩序が実現するという事態となる。その時のいつもの感想が、初めからこの状態で仕事すればやりやすかったはずなのに、というもの。

今回は、退職なので片付けなければならないことはずっと前からわかっていた。しかし、なんとか形になったのは、ようやく直前になってからだ。片付けられないけれども、最後にはぎりぎりなんとか間に合わせる、というのが僕の密かな誇りでもある。かろうじて、それでなんとか人生を渡ってきたのだ。