大井川通信

大井川あたりの事ども

やせない男

昨年5月にコロナに感染した。今は第6波の終息がみえないところだが、当時は第4派。オミクロンなんてやわな株が蔓延するまえで、まだワクチンもない状況だった。

最悪のデルタ株に出回る直前だったが、僕たち家族が感染したのは走りのデルタ株だったと思っている。感染者との接触からわずか数日で家族三人がつぎつぎに感染し、三人とも発症して隔離され、内二人が中等症になり病院に搬送されている。素人目にも以前のコロナより格段に強力だったからだ。

家族の中でも僕は肺炎が重くなり、死を意識するような特別な経験をした。一か月の治療期間で、ずいぶんいろいろなことを考えた。治療のため長期にわたって投与されたステロイドのため身体にも異変が生じ、頭も変な風にさえわたった。

コロナ感染は、定年直前の僕にずいぶんいろいろな影響を与えた暴風雨みたいだった。そのあとうまく行ったことも、行かなかったこともある。転職計画は失敗したけれど、四つの資格がとれたのは計画どおりだった。

しかし、何よりの大失敗は、命をかけた体験で落とすことのできた体重を、すっかり元の自分の最高体重に戻してしまったことだ。これだけはなんとしても悔やまれる。デルタ株さえ押し返す、食い意地恐るべし。