大井川通信

大井川あたりの事ども

日向ぼっこの二人

やや古い話だけれども、ゴールデンウィークに長男が戻ってきて、思ったより長く家に泊まった。元の長男の部屋を次男の部屋にしてしまったので、もう自分に戻る場所はない、なんて文句を言いながら、次男の部屋に布団を敷いて仲良く並んで寝ていた。

一昨年の再就職後に資金をためて、昨年秋に念願かなって福岡市の中心部の新築のワンルームマンションに引っ越していった。再開発された道路に面していて、ロケーションもいい。8階で眺望もいいから満足していると思ったが、日当たりがあまりよくないという難点があったようだ。

長男が育った我が家は、考えてみれば、日当たりと風通しはとてもよかった。一階のリビングとそのちょうど真上の長男の部屋は、南東を向いていて窓も大きく、一日中、日が陰らないし、傾斜地の住宅街だから、遠方まで見晴らしもいい。

長男は、リビングの前のデッキに椅子を出して、日光浴を始める。今までそんな姿を見たことはなかったが、無意識に身体が太陽を求めているのかもしれない。すると、次男もその隣に椅子を持ちだして、並んで日光浴をはじめる。

20代になった兄弟のこんな様子を見るのは、親として嬉しいようで、どこかくすぐったい。あまりいい父親ではなかったと思うが、両親が亡くなったあとも、障害というハンデをもった弟と仲良く助け合って生きて行ってもらいたいという思いから、兄弟の関係づくりの邪魔だけはしないように努めてきた。その思いが実を結んだみたいで。