大井川通信

大井川あたりの事ども

旅客機再入門

職場の若い同僚に金曜の夜の予定を聞いてみたら、飛行場に飛行機を見に行くという意外な答えが返ってきた。飛行機が好きで、本当は空港の整備士になりたかったのだという。

こういう風変わりな趣味を聞くと、がぜん興味がわいて、真似をしたくなる。欲望とは他者の欲望であるとヘーゲルが言っていた。他者の欲望を欲望するというのが欲望の基本形態だという理解は、僕の体験からも納得できる。

僕は戦闘機が好きだったけれど、旅客機に興味をもっていた時期もあったのだ。その当時の知識を振りまわして、その飛行機好きの同僚と話していると、旅客機への興味がよみがえってくる。

僕の少年時代は、超音速旅客機コンコルドと超大型旅客機ジャンボジョットが登場し、新しいエアバスの開発競争も行われた夢のある時代だった。旅客機のスタイルもみな個性的だった。旧来の大型機では、ダグラスDC-8が好きだった僕は、エアバスの中ではダグラスDC-10をひいきにしていた。

就職して初めて乗ったのは、ボーイング747のジャンボジェットだったのは覚えている。エアバスでは、DC-10にも、ロッキードトライスターにも乗ったことがあるはずだが、それほど感激した記憶はない。そのころは仕事と生活に疲弊し、旅客機の機体を語り合えるような知人もいなかったのだろう。

風の便りに、ロッキードもダグラスも撤退したり吸収合併されて、ボーイングエアバスだけが勝ち残ったことを聞いた時に、少しびっくりしたくらいだった。