大井川通信

大井川あたりの事ども

百合とススキの話

秀円寺の裏から大井へと古い石段を降りていると、斜面に咲く百合の花が目に入った。白い花弁に赤い細かい斑点がはいっているのが目をひく。市の花であるカノコユリであることは、植物にうとい僕にもすぐにわかった。カノコ(鹿の子)は、シカの背中にある斑点模様のことだという。

古い地蔵が並んでいる雑草と雑木の多い斜面で特別に管理している場所ではないようだから、自生しているのだろう。希少種というから、貴重な自生地なのかもしれない。

大井の集落に下りると、今度はだいだい色の派手なユリが目立っている。調べるとオニユリ(鬼百合)だった。少し歩いただけで、二つのユリの名前を覚えて、満足する。

大井川の川岸にはところどころ、大きなススキが生えている。これはネット情報で、トキワススキという種類だと知った。ふつうのススキとは違い、秋ではなく夏に穂を出す。

先日は、ババウラ池の岸にネムノキを見つけた。遅ればせながら、植物の知識も一つ一つ増やしていこう。家の周辺の空間の全てに関わるというのが大井川歩きの志なのだから。