大井川通信

大井川あたりの事ども

カラスと会話する(二日目)

翌日、同じ場所で待っていると、聞き覚えのあるクワッ、クワッの声が聞こえてくる。その鳴きまねをしてみると、昨日のカラスがまた近くの枝にやってきた。真っ黒でも、どことなく個性があるものだ。

カラスはいきなり、昨日とはまったく違う、普段聞いたこともないような鳴き方をしてくる。今回は回数勝負ではない。すべて少しづつ違う鳴き方をしてくるが、特に驚いたのは、口を大きくあけて身体を伸ばし、身をくねらせながら、まるでウガイをするみたいな鳴き声をたてるパターンだ。さすがにこんな鳴き方は見たことがない。どれも声が小さいのは、遠方の仲間にではなく、目の前の僕に聞かせているからなのだろう。

僕も、一回一回できるだけ似せて応じてみる。こちらも人間として意地がある。このやりとりをしばらく続けたあと、カラスは木の下にミミズでも見つけたのか、飛び降りて美味しそうに食べだした。昼休みの時間が終わりそうな僕は、そのすきにその場を後にする。

カラスとこんなふうに交流できるのも、家で四六時中猫たちに鍛えられているためだろうと思う。猫はカラスよりずっと気まぐれだし、たぶんカラスの方が少し頭がいいのではないか。