大井川通信

大井川あたりの事ども

カラスと会話する(9日目、11日目)

五日間、間をあけて公園に行く。いつもの場所でしばらく待ったが、やってきたカラスは、カアー、カア―という鳴き方をするばかりで、ちょっとカンタロウ(この名前にしました)らしくない。それでも、近場の木にとどまっていたから、おそらくカンタロウだったのだろう。日にちがあいて、お互いが疑心暗鬼になっていたのかもしれない。

出張で一日あけて、いつもの築山の上に行くと、低い枝にカンタロウがとまって待っていてくれた!

さっそく、小声でゴロゴロと喉をならして挑発してきた。こちらもゴロゴロと喉をふるわす。こんどは数回をそれを繰り返すから、同じ回数だけ鳴きまねをする。まさにカンタロウだ。

ここで難度をあげて、くちばしを大きく開けると首を伸ばして、身体を震わしながら奇妙な声を出す。人間の発声器官ではでない音だ。でもなんとか首をのばしてそれに近い音をひねり出す。これも回数を増やしてくるから、それにあわせてうなり声をのばす。都市公園の周遊路を歩く人たちに気づかれていないか心配しながら。

 

カラスは、今まで鳥好きの僕にとってもどこか悪役だった。トビがカラスに追い回されていると、トビにしっかりしろと応援し、ツバメが意を決してカラスに対して攻撃に転じると、よくやったと喝采をあげた。

カンタロウと知り合ってみると、本当に申し訳ないふるまいだったと反省する。カラスの鳴き声を聞き、群れを見上げると、カンタロウが困らずに楽しくやっていてくれることを願う自分がいる。