大井川通信

大井川あたりの事ども

息子と喧嘩する

朝、次男が起きてこない。妻は朝が弱く、僕が寝過ごしても次男が寝過ごしてもまったく頼りにならないが、こちらはそうはいかない。もし職場に間に合わないならば、僕が勤務を午前中休んで車で送らないといけないかもしれない。転勤して4か月。次男も何とか落ち着いてきたようだが、遅刻をするようでは職場での立場が悪くなるだろう。

そんなことを考えていたものだから、次男への言葉がすいぶん乱暴なものになってしまった。次男の言い分はこうだ。今から起きても、十分職場の始業時刻には間に合うのだからそんなにかっかするのはおかしい。

売り言葉に買い言葉で、職場にはぎりぎりではなく早めに着いてやる気をみせると約束したじゃないか、といっそう怒ってしまう。

あとで振り返ってみれば、ふつうに声をかけるだけでよかったのだ。起床時刻が遅れがちなことが気になるのなら、また別の機会にじっくり話せばいいことだ。

ところが、こういう非常事態みたいなことが起こると、元来気が小さいものだから、悪い方悪い方に考えてしまって、その不安を拭い去るために、イライラを爆発させてしまう。家族のことを心配しているのだが、その心配を受け止めきれないために、不機嫌になってしまう。

ある時、父親が亡くなったあとで、今回の僕と同じような父の様子を姉が振り返って、それを的確に解説しているのを聞いて、うなってしまったことがあった。姉は純粋に父を回想しただけで、僕が似ているといいたいわけではなかったのだろうが。

遺伝というのはおそろしい。次男は、長男に比べて、祖父から続く短気を少しだけ引き継いでいる。ただし、人間の器は僕より大きいから、必要以上に感情を乱したり、後に引いたりすることはない。

夕方、雨が降ったので、妻と二人で次男の会社に迎えに行くことにする。次男は何食わぬ顔でありがとうといい、3人でお好み焼きを美味しく食べて帰る。器の小さな僕は、重荷を下ろしたようにほっとした。

 

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