大井川通信

大井川あたりの事ども

クロスミ様へのお参り

のびのびになっていたクロスミ様へのお参りをようやく果たす。大井川歩きについてまとめると決意した以上、クロスミ様への報告とお願いを欠かすわけにはいかない。大井川からの登山道は、太陽光発電のパネルの先は、浄水施設が廃止されミカン園もなくなったので、人通りがなく雑草に埋められそうだ。イノシシが怖いので、笛を吹きながら歩く。

最後に低い崖をよじ登ると、雑木林の山頂はいつも通り全く違った表情を見せる。クロスミ様に日本酒を奉納し、立て看板に書かれた神様の由緒を朗読する。そのあと大井側の眺望を楽しむ。遠く北九州八幡の皿倉山の山頂が見える。

黒尊様の祠の周辺と用山側のメインの参道は相変わらず整備が行き届いている。しかし、コロナ禍のとき、青竹で参道の各所にベンチが作られたような丁寧な整備と比べると現状はだいぶ違うようだ。古くなったベンチは撤去され、道幅は広くなっているが、足許の階段状に打ち込まれた杭まで撤去されたので、滑りやすくておりにくい。個人というより公的な整備が入ったような気がする。

用山に出ると、街道沿いの農家で家族が道沿いの庭に出ているので声をかけると、クロスミ様の整備については、いつもの「キノさん」の名前が出た。近々インタビューをしてみたい。

集落の中に入って、観音様、地蔵様、村社の八幡神社の順番で参拝する。村はずれのヤマクビは、恐ろしい伝承の場所として存在感を失っておらず、遠方から見ると森に穿たれた穴のようだ。鳥居の真下に、クマゼミが落ちていて苦しんでいる。例年藤の盛りに藤棚で出会うクマゼミだが、今年は藤を見なかった。おそらく寿命を迎えたのだろう。生命の大きな営みを思って頭を下げる。

最後に、平安末期の阿弥陀仏に参拝する。千年信仰を守っている村里として、用山は臼杵の石仏の里にも通じるものがあると気づいた。