大井川通信

大井川あたりの事ども

思想家たち

宗教論

岡庭と吉本⑤ 吉本隆明は、キリスト教や仏教を広く論じて宗教論集成を出版しているが、90年代には、オウム真理教の麻原彰晃を擁護する発言で物議をかもした。 岡庭昇は、メディア批判や社会批判の一方、創価学会を擁護する立場を明らかにし、池田大作を論じ…

ポストモダン

岡庭と吉本④ 吉本隆明は、オイルショック以後の社会の変化を受けて、批評のスタンスを変更した。『マスイメージ論』で大衆文化を論じ、先進国が「超資本主義」へ入った時代を独自の視点でとらえるようになる。 同じころ、岡庭昇も狭義の文芸評論の枠組みから…

世界文学

岡庭と吉本③ 吉本は、古典や詩歌から、近現代また国内外の文学を、普遍的な相で論じることができた。 岡庭昇もまた、漱石から戦後の諸作家、近現代の諸詩人だけでなく、例えばフォークナー論を一冊にまとめるなど外国文学についても、一貫した視座から論じて…

言語思想

岡庭と吉本② 吉本隆明の思想の根底には、『言語美』等で展開される、言葉や観念に対する原理的な把握があることは、よく知られている。 一方、岡庭昇にも、「規範言語論」とも呼ぶべき、言葉と観念をめぐる本質的な理解があって、それが、詩論、文学論、メデ…

詩と詩論

岡庭と吉本① 吉本隆明は詩人であり、詩についても多く論じている。前の世代の戦争詩を批判したり、70年代には、同時代の詩を「修辞的現在」として総括したりもした。 岡庭昇も、詩人として出発し、2冊の詩集と2冊の詩論を編んでいる。「芸の論理」による…

岡庭と吉本

岡庭昇を読み直すときに、吉本隆明の軌跡を参照軸にすることもできるだろう。それぞれの読者からは異論があるだろうが、両者には意外に多くの共通点がある。 一知半解を承知で、その共通点を挙げていく。狙いは、「戦後思想の巨人」に照らして、岡庭昇の仕事…

岡庭昇

学生の頃、市立図書館で岡庭昇の朔太郎論を偶然手にとって、衝撃を受けた。 等身大の言葉が世界とわたり合う力をもつ、と知って。 以来、言葉への密かな信仰を持ち続けている。

埴谷

CDで埴谷雄高の洒脱な語りを聞く。 台湾での少年時代、空気銃でスズメを撃ち落とした経験が、自分の文学につながっている、と。 しかし、そのスズメは比喩であって、本物の他者でないようにも思える。鳥を眺めながら、ただ暮らしている者からすると。

吉本

部屋を片付けていたら、吉本隆明の講演CDが出て来た。 胎児期をふくむ母子関係からすべてを語っていく、重機のような論理。 たしかに、乱暴さが言葉を輝かすことも、あるにはある。