大井川通信

大井川あたりの事ども

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

灼熱の夏(8月のまとめ)

今年の夏は、観測史上一番気温が高かったそうだ。日本の平均だそうだから、自分の住む地方に限定すれば必ずしも最高でないかもしれないが、とにかく暑かったことは間違いない。特別どこかに出かけたわけではないけれども、僕にとっては、今までにないくらい…

職業能力開発校のオープンキャンパスにいく

次男は、相変わらず自宅で快適な生活を送っている。兄のあとを引き継いだ二階の個室には冷蔵庫もあるし、一階に下りれば、母親も猫二匹もいる。もともと他人とのコミュニケーションを煩わしく思うタイプだから、それで十分なのだ。 家にばかりいるわけではな…

夕立に降られる

夕立(ゆうだち)は正式な気象用語らしく、あらためてその意味を調べると、夏の午後から夕方に見られる激しいにわか雨で、雷を伴うこともあるという。 この夏は、この定義そのままの夕立に降りこまれることが何回かあった。記憶をさかのぼっても、こんな典型…

こんな夢をみた(老害夫婦)

食事もできる温泉施設のようなところだった。夫婦で行って、レストランで注文したけれども一時間くらいまっても料理がでてこない。 妻が怒って、レストランの店員と大立ち回りをするのを、離れたテーブルから見ていた。しばらくして店員たちが集まっている場…

行橋詣で

朝から、行橋の井手師を訪ねる。本当は月に一回のつもりだったが、紹介していただいた高橋一郎師の二著があまりによかったので、その報告がしたかったのだ。 昔を思い出しながら炎天下の市街地を歩き、教会に着いたのは10時半くらいだった。井手師は「朋あ…

『親鸞の仏教史観』 曽我量深 1935

高橋一郎師のエッセイを読むと、何度か曽我量深(1875-1971)のもとを訪ねている。曽我量深といえば、若くして清沢満之の弟子となり、浄土真宗の宗門ではとても尊敬されている碩学であることは、時々聞法の場に顔を出すくらいの僕でも知っているところだ。 …

「安部文集」作成途中経過

文集の原稿部分のレイアウトが、外田さんのアドバイスを得ながらようやく完成した。次の作業ということで外田さんから呼び出されたのだが、どんな作業が残っているのか皆目見当もつかない。 行ってみると、外田さんが知り合いの編集のオペレーターの人と作業…

大井川歩き(タグマ編)

「老害事件」から休日でいうと3日目に当たる朝。今朝も涼しいファミレスに逃げずに、また快適なリビングでの自堕落な動画鑑賞に逃げ込まずに、大井川歩きに出発する。 今日は市街地の方に足が向く。1日目は釣川に沿って宗像大社まで。2日目は里山を抜けて…

『アジアを生きる』 姜尚中 2023

まさか姜尚中の本を自分で買う羽目になるとは思わなかった。しかもアイドルの写真集なみに、上半身正面写真がでかでかと掲げられた新書を。 僕のような末端の読書好きは、どの本を買い、どの本を買わないか、ということでしか自分の意志を示すことはできない…

『金光教の本質について』 高橋一郎 1949

ネットの古書店で手に入れたのは、著者の没後1966年に刊行された第三版。1952年に増補された第二版がもとになっている。 エッセイ集『求眞雑記』には魅了されたが、それは様々な話題(脳腫瘍手術という重い経験も背景にある)に著者の本音が顔をのぞかせてい…

『テロルの原点』 中島岳志 2023

『朝日平吾の鬱屈』(2009)の加筆修正文庫版。 1921年(大正10年)に一代で財閥を作り上げた富豪安田善次郎を襲って自決した朝日平吾(1890-1921)の足跡と内面を追ったドキュメンタリー。朝日のテロは、原敬首相暗殺の連鎖を呼び、1930年代のテロリズムの…

『求眞雑記』 高橋一郎 1957

井手師からすすめられて、ネットの古本屋で金光教関連の冊子とセット販売されているものを見つけた。新書サイズの簡素な装丁で、150頁弱の薄くて古い本。しかし内容は鮮烈だ。 井手師がまっさきに名前を挙げたのが高橋一郎(1912-1961)だったのだが、本来…

煩悩を焼き尽くせ!(里山編)

今朝は昨日より1時間早く家を出て、里山の中に入る。100メートル程度の山でも上り下りはこたえるし、ミカン畑がソーラーパネルに代わってからは、農作業で登る人がおらず、雑草が伸び放題で歩きにくい。 脇道を入って、山中のため池を見に行く。このため池の…

大社帰りに賢人の納屋(ギャラリー)に寄る

ふらふらになってたどり着いたのは、村の賢人原田さんの納屋兼ギャラリーだ。 僕は、ここ数日の精神の振幅を、原田さんに吐き出す。金光教の学びの高揚と老害騒動の失意との間のふり幅だ。原田さんに話すことで考えがまとまり、自分の腹に収まるということが…

煩悩を焼き尽くせ!(大社編)

翌日、早朝から真夏の大井川歩きに出かける。ファミレス楽ちん読書を禁じ手にして、自分に試練を与えるためだ。熊鈴、笛、杖を用意して里山に入ろうかと思ったが、雑草と高低差を恐れて、平坦なコースで宗像大社に向かう。 それでも直線距離で片道4キロの道…

老害 vs. 老害

お盆の週の平日の休みに、いつものようにファミレスに行く。かろうじて職場の始業前の時間だ。寝過ごしたり家でダラダラしたりせずに、朝から計画通りの勉強を開始するのは気分がいい。 ファミレスも平日だからすいている。ところが今日はアクシデントがあっ…

「金光教と浄土真宗の比較研究-その信心構造の輪郭について」 松井雄飛太郎 1962

『金光教学』第5号所収の論文。著者は教学研究所研究員の肩書。専門的な論文で本来太刀打ちできるものではないが、自分が考えているテーマに重なるので、感想をメモしておこう。 ・昭和30年代には、金光教も研究誌を立ち上げているし、掲載論文の内容にも勢…

お盆に金光教行橋教会を訪問する

初訪問から一か月たって、もう一度行橋の井手師を訪問することにした。この間に井手師の講演録『神願を生きる』を読んで、少し考えが進んだということもあるし、前回気持ちよく話ができて、またいらっしゃいと言っていただいたということもある。用意した地…

黄金市場のおじさんの初盆に醤油を届ける

「なんもかんもたいへん」のおじさんと付き合いが始まったのは、その口上が面白かったためだけではない。古びた木造の黄金市場の中であっても、きちんと店を構えていたならそこまでの興味はもたなかっただろう。 おじさんは狭い路地にしゃがみこんで、背後の…

『カブトムシの謎をとく』 小島渉 2023

ちくまプリマー新書の最新刊。こういうタイトルの本はすぐに手を伸ばしてしまう。 僕の近年のカブトムシ体験には「謎」が二つある。この二つの謎の回答を見つけるヒントになるような記述があった。 もう5年以上前のことだと思うが、東京郊外の実家近くの緑…

幼なじみに手紙を書く

語義からいうと幼なじみとは、幼年期からの友達ということになるようだが、そのころの友人で今でも印象に残っている人はほとんどいない。彼とは、小学校4年5年6年の頃の同級生で、同じ公立中学に入学して同じクラスになることはなかったが、3年間同じ部…

台風で電車がとまる

台風の接近が少し遅れたものの、陸地からは離れた海洋上を抜けていくところなので、たまに強めの風が感じられるくらいで影響はほとんどない。何の疑問もなく家を出て駅に向かうが、やや違和感が。歩いている人がほとんどいない。 駅の周辺にも人混みがなく、…

座骨神経痛がやってきた

僕がはじめてぎっくり腰をしたのは30歳くらいの時だったろうか。一人暮らしをしていたとき、腰の痛みで布団から起き上がることもできなくなった。洗濯物を干すロープを身体にぐるぐるまいてサポーター替わりにして何とか起きだし、整骨院に行ったのを覚えて…

『本願と意欲』 平野修 2000

平野修(1943-1995)は、今村仁司先生に清澤満之を読むきっかけを与えた人だ。今村先生が講演に呼ばれたときに、平野さんから清澤満之の話を聞き、清澤への「限りない敬愛」を感じて自ずと読むことを誘われたという。 このエピソードから二つのことがわかる…

『清沢満之集』 安冨信哉編 2012

3月にマイケル・コンウェイ先生の講義を聞いて、浄土真宗についてあらためて刺激を受けたことをきっかけに、休みの日に短文を一つずつゆっくり読み進めて、ようやく読み終わった。 清沢満之とは、2001年に今村先生の編集で唐突に出版された『現代語訳清沢満…

セミの幼虫はなぜ地中生活が長いのか?

これは僕の鉄板ネタなので、当然ブログの記事にしていると思った。今回、矢野智徳さんの話を聞いて、このネタに論点を付け加えて改良できることに気づいたのだが、そもそも引用できる元の記事がないので、はじめにそれを簡単に紹介したい。 ・まず、セミの幼…

現代美術作家との会話

安部さんの文集の打ち合わせで、外田さんと話をする。現代美術作家として長く作品を作り続けてきた外田さんの話には、他では得られない刺激がある。 普通の人間、例えば僕の場合、生活の中で何か面白いことを思いついたりする。そのアイデアの原型を自分で楽…

『地下水と地形の科学』 榧根(かやね)勇 2013(1992)

1992年にNHKブックスで出版された『地下水の世界』の増補改訂版。学術文庫での刊行当時、すでに大井川歩きを始めて水への問題意識があったから、購入して半分以上は読んでいたと思う。今回は、「杜人インパクト」で再び手に取って、読み通した。 面白かった…

『神願を生きる』 井手美知雄 他 2004

先日お会いした行橋教会の井手美知雄教会長を含めた3人の講演録の入った本を手に入れる。教祖伝『金光大神』が新たに編まれたタイミングで、全国の教会長という専門家集団に対して行われた講演のようだ。 あらためて教祖とどう向き合うのか、それを通じてど…

ゲーテ詩を読む

詩歌を読む読書会で、新潮文庫の『ゲーテ詩集』を読む。僕はかろうじて日本の近現代詩を好んで読んできたが、それ以外の古典の詩歌や外国詩は、まったく不案内だ。この読書会はそのあたりに目配りが広く、自分では絶対に手に取らない詩を読めることがメリッ…