大井川通信

大井川あたりの事ども

夕立に降られる

夕立(ゆうだち)は正式な気象用語らしく、あらためてその意味を調べると、夏の午後から夕方に見られる激しいにわか雨で、雷を伴うこともあるという。

この夏は、この定義そのままの夕立に降りこまれることが何回かあった。記憶をさかのぼっても、こんな典型的な夕立を体験したことはなかったような気がする。子供の頃のことは忘れてしまったのかもしれないが。

思い当たることはある。昨年に退職して、仕事が引けるのが早くなり、しかも徒歩での通勤となった。明るいうちに歩いて帰れるようになったのだ。すると真夏の午後の夕立に会いやすくなる。

午後から雲が厚くなって、いつ振り出してもいいような天候になる。すると、ちょうど帰宅の頃、生暖かい風に雨粒が混じって、すぐに大振りの大荒れになる。なんて運が悪いんだ。こんな思いをこの夏で少なくとも3回は味わった。

駅まで7,8分の道のりだが、たまらず雨宿りをする。しかし雨脚は強くなる一方だ。いわゆる「車軸を流す」という勢いか。見ると、目の前の樹木の太い幹を伝う雨水が、滝のように地面にたたきつけられている。雷の音もなかなか遠ざからない。

やや雨脚が弱まったようでも、タイミングを誤るとまた降りが強くなって、結局土砂降りの中を歩きだすことになる。よほど腰をすえる覚悟がないなら雨宿りの効果があまりないことを知ったのも、この夏の収穫だ。