大井川通信

大井川あたりの事ども

モノの話

ラーメン屋の味

僕は、カービィのように食べ物を何でもおいしく吸い込んでしまう人間なので、たいていの食べ物の美味しいか不味いかはあまり気にならない。 うどんとか、カレーとかの味に、そんなに大きな差があるとは思えない。とびきり美味しいとおもうこともあるが、たぶ…

同期会というもの

僕が、大学を出て最初に就職した会社にも、同期会というものがあった。4か月にわたる研修期間中、共同生活をしたり、販売実習で班別の競争をしたりで、同期の30数名のきずなは深まった。 おそらく研修担当の職員たちの示唆があったのだろうが、自主運営の同…

『機械の図鑑』 小学館の学習図鑑シリーズ24 1962

以前から、少しずつ子どもの時の蔵書をネットで見つけては買い集めている。整理好きの両親の影響があって、それらはすべて処分してしまっていたからだ。 小学館の学習図鑑はなつかしい。僕は当時から、本を読むことより、本をながめることが好きだったのだと…

山田饅頭の味

僕は、食欲とか味覚に関して弱点が多い人間なのだが、それを勝手に1960年代の貧しい日本のそれほど豊かでない家庭に育ったためと理由付けしている。 カービィ―のように、意地汚くなんでも吸い込んでしまう話をしたけれど、それと関連したことで、モノの美味…

カービィとおにぎり

僕が食い意地がはった人間であることは、何度か書いている。まだ日本が貧しかった60年代に、富裕とはいえない家庭に育った者の宿命と、自分勝手に解釈してあきらめているが、ポストモダンの飽食の時代に育った息子たちの食べ物へのライトな感覚には、あぜん…

窓から見えるもの

今の職場の机から目をあげると、窓ごしに松林の上の空を見ることができる。そこには、たいていトンビやカラスの姿があるが、時にはミサゴが飛ぶのが見える。 ミサゴは、英語名はオスプレイ。空中で自在に姿勢を変え、水中の魚をめざしてダイブする、あの勇敢…

角帽とミロク菩薩

正月があけて姉があそびに来てくれた時、僕の大学の角帽をもってきてくれた。実家のたんすの奥に大事そうにしまってあったのだという。 年末に、空き家になっていた実家を従兄に贈与する契約をした。今まで帰省した時に、目についた本や品物は持って帰ってい…

赤色巨星の憂鬱

オリオン座の一等星ベテルギウスの明るさが昨年末から急に暗くなり、これまでの半分以下になってしまったことを新聞で知った。それからしばらく曇りや雨の日がつづいていたが、今日ようやく星空を見上げることができた。 なるほどオリオン座の右肩にあたるベ…

トミカ50周年

ミニカーのトミカが誕生して、今年で50年になるそうだ。その時発売されたラインナップのうち、トヨタ2000GTとファレデイZという二種類のスポーツカーのモデルを買った記憶があるので、小学3年生の僕は、トミカの誕生に立ち会ったことになる。 そのことが書…

「なべやきうどん」の味

僕の実家では、今のように外食をする機会はほとんどなかった。時代は高度成長期で、まだ国民の多くは清貧な暮らしにとどまっていて、消費社会なんてものが成立する前だった。 その分、これも多くあったわけではないが、家で食事の準備ができなかったときに、…

初代ターセル後期型ソフィア

箸休めにもならない内容だが、僕が生まれて初めて購入した車がなんであったか、という話。 会社員になって二年目だと思うが、中古車屋から40万か50万くらいで1300㏄の3ドアの赤い小型車を買った。1985年のことだ。免許を取ってから1年以上空いていたから、…

京都精華大学セット

大井の古民家カフェ村チャコの小川さんの息子さんが、京都精華大学に進学することが決まったらしい。ジュンノスケ君のことは、中学生の頃からよく知っているから、お祝いに何か贈りたい。それで、手持ちの蔵書から、この大学の先生の本をセレクトして渡そう…

手帳の話

今年もまた、新年度の手帳を購入する時期がやってきた。 僕は、若いころから仕事用の手帳を使ってきたけれども、その使い方はまるで下手だった。ほとんどを捨てずに持っているので、それを見比べると一目瞭然だ。 まるで日記みたいに、年度当初だけつけて、…

『偕成社/ジュニア版 日本文学名作選』 全60巻 1964-1974

僕が子どもの頃、おなじみだった赤いカバーの近代日本文学のシリーズ。ポプラ社にもよく似たシリーズがあったけれども、偕成社版が本物のような気がしていた。やや小ぶりだけれども厚めのハードカバーで、江戸川乱歩シリーズやホームズやルパンのシリーズと…

『小学館/少年少女世界の名作文学』 全50巻 1964-1968

実家の隣の従兄の家にあった子供向け文学全集。 僕たち姉弟は、隣の家を図書館がわりにしていたから、このシリーズにもだいぶお世話になった。僕は拾い読み程度だったけれど、本好きの姉は全巻を通読していたのではないか。 一冊がかなり大きく分厚い本で、…

飛行機ポンポン

出張で東京を往復する。東京行きは、このところずっとスカイマークのボーイング737だ。 ひと頃のジャンボやエアバスに比べたら、ずいぶん小柄でほっそりしている。だいいち、エンジンも両翼に一つずつしかついていない。バードストライクとかで、エンジンの…

缶コーヒーの思い出

最寄り駅の近くの自販機で、UCCのミルクコーヒーを販売するようになった。上から茶色、白色、赤色の帯で3色に塗り分けられ、真ん中にUCCのロゴが目立つ缶コーヒーを自販機で見るのは、本当に久しぶりな気がする。 遠慮がちに金額も80円と控えめだから、つい…

ひさの5周年祝賀会手品演目

ひさの5周年のお祝いの食事会に招待された。昨年のデイサービスゆいまーる5周年に引き続いて、手品を披露する機会をいただいた。小学校以来、芸歴は50年近くになるが、ステージマジックを実演する機会はめったになく、できる演目も限られている。 記憶に…

テンもいてんの?

玄関先のポーチに細長い小さなフンが置かれている。妻に聞くと、以前から時々見かけるらしい。ネットで調べると、イタチのフンであることがわかった。 イタチは石張りの玄関にフンをすることを好むという習性までわかった。フン害にあった人が、ネットで現場…

すた丼のほろ苦い味

食に関しては知識も味覚もなく、唯一記事にできるB級グルメが「すた丼」だ。今年になってから地元にチェーン店が出店したので、帰省時にねらって食べる必要がなくなった。それで何十年ぶりかで、すた丼発祥の店を訪ねることにした。 国立駅は撤去されていた…

『カブトムシ 山に帰る』 山口進 2013

昆虫写真家の山口進(1948-)による子ども向けの入門書で、さらっと読めるが、中身はすこぶる濃い。5年ばかり前に初めて読んだときにも、目からウロコが落ちる思いがしたが、ある大切な指摘については、読みとばしていた。最近、そのことの重要性に気づいて…

『金沢城のヒキガエル』 奥野良之助 1995

昔、僕にもヒキガエルは、なじみのある生き物だった。実家の脇には200坪くらいの雑木林の空き地があって、「原っぱ」と呼んでいた。そこには当然のようにヒキガエルが住んでいて、夜に家の玄関に飛び込んできて、家族で大騒ぎしたことを覚えている。街では、…

すた丼の味

子どもの頃、質素で堅実な家に育ったので、何でも美味しく残さずに食べるように教えられた。両親とも、戦中戦後の食糧難の時代を経験しているから、食べるモノがあることのありがたさが骨身に染みているようだった。当時の学校給食でも、この精神は教育され…

非常階段の話

ガチャガチャ(ガチャポン)のおまけには、とても変なものがある。200円か300円を入れて、ハンドルをガチャガチャと回して、カプセルを出す、あれだ。昔は10円のガチャガチャだった。今では、100円のものでも見当たらない。 ガチャガチャのコーナーをのぞい…

『山のトムさん』 石井桃子 1957

僕は子どもの頃、1968年に福音館書店で再刊された本を持っていた。今手元にあるのは、自分の子育ての時に書店で見つけて買っておいたものだ。猫を飼ってみて、あらためて読み返してみた。 やはり、これは猫を飼わないとわからない本だと思った。子どもの時に…

眼鏡の話

僕は、子どもの頃から視力がそこそこ良くて、2.0の時もあった。本は好きでも、実際に読む時間は短いことも幸いしてか、大人になって視力が目に見えて下がることもなかった。テレビゲームもしなかったし、仕事以外でパソコンをいじる趣味もなかった。 老眼で…

『初心者のための天台望遠鏡の作り方 屈折篇』 誠文堂新光社 1967

子どもの時の懐かしい蔵書シリーズ。ブルーの地味な表紙の薄い本と、再会を果たせて感無量だ。 1940年生まれのエコノミスト野口悠紀雄さんの本に、子どもの時、天体望遠鏡を自作したことが書いてある。おそらく、1950年代には、レンズ等を購入して、あとは自…

イノシシと野ウサギ

かつては、人間たちのくらしの身近な隣人だった動物たち。都会暮らしとは言わないまでも、ふつうに街で暮らしていると、彼らに出会う機会はまったくなくなっている。昔話や絵本でおなじみの動物でも、実際の姿には驚くことが多い。 たとえばイノシシ。僕は昔…

『科学の学校』 岩波書店編集部 1955

五巻セットの本が届く。箱はだいぶ古びているが、中身はきれいで思ったより状態がいい。長年心の片隅にひっかかっていた本を手にして、感無量だ。 敗戦後まだ10年の年に出版された子どもむけの科学の本。各巻は「宇宙と地球」「生物と人間」「物質・熱・光」…

『世界の戦闘機』 秋本実 1969

勉強会仲間の吉田さんに、近頃子どもの時の本を集めているという話をしようと思って、たまたま届いたばかりのこの本を持参した。すると彼の目の色が変わる。吉田さんもかつて飛行機好きの子どもだったのだ。それでしばらく、スカイホークやらイントルーダー…