大井川通信

大井川あたりの事ども

モノの話

デパートで手品を買い始めた頃

1960年代末に立川のデパートの玩具売場では、テンヨーの手品道具だけが置かれていたと思う。テンヨーの製品は、今では吊り下げて展示されるのが主流だが、当時は小箱に入ったものがガラスケースの中に並んでいた。 小箱は黄色や緑色がベースの装丁で、子ども…

友達にお金を貸すこと(後半戦)

この二年半、友人に借金返済の話はまったくしなかった。コロナ禍も続いていたし、友人の体調の問題もある。とても切り出せる気はしなかったし、あれだけしっかり言ってあるから大丈夫だろうと思っていたのだ。 友人にも大きな仕事が入り出して、そろそろ返済…

友達にお金を貸すこと(前半戦)

友達に貸したお金はかえってこない。だから、あげるつもりでないと貸してはいけないというのは大原則だ。友人からお金がかえってこないと泣き言をいうのは愚かである。そう思ってきた。 知り合いに借金するのは最終手段だろう。相手方の経済はひっ迫している…

ワコール・リーカーミシン館の絵葉書

ネットのオークションで見つけた日本万国博覧会(1970)のパビリオンの絵葉書が届く。万博関連では高値のものも多いが、これは数百円だった。 ワコール・リッカーミシン館。平板な渦巻き状の白い建物の上に、大きな平たい円盤状の屋根をかかげた未来的なデザ…

へびゴマ物語(その4 大団円)

久しぶりにネットでへびゴマの検索をしようと思いついたのは、虫の知らせがあったからか。手元にあるプラスチックの新しいへびゴマなら市場に出回っているのはわかっているが、もしかしたら別のへびゴマが見つかるかもしれない。 そうしたらなんと、あの思い…

へびゴマ物語(その3 へびゴマはリゾームか?)

おっさんちは国分寺崖線の段丘上にあったので、僕たちがそこに行くにはどこかの坂(有名な「たまらん坂」もその一つ)をのぼらないといけなかった。 おっさんちのあたりから国分寺崖線を東にたどると、3キロほどで、東京経済大学のキャンパスにぶつかる。崖…

へびゴマ物語(その2 ついに発見!)

まだおっさんちのお店の建物が残っているうちは、あの中にへびゴマのおもちゃが残っているかもしれないから、なんとか入れないかと考えたりした。大人になって東京を離れたあとも、深夜のおっさんちに侵入する夢を未練がましく見ることがあった。 やがて観光…

へびゴマ物語(その1 おっさんち)

僕は東京郊外の新興住宅街に育ったためか、典型的な駄菓子屋を知らずに育った。そのことに気づかされたのは、別府浜脇温泉で育った同世代の吉田さんと話していたときだ。 整然と区画整理された町のいくつかの商店街には、それぞれ個性的なおもちゃ屋さんがあ…

出来事が沸騰する

ごくごく平凡な毎日を送っているが、何かがきっかけになって、いろいろな出来事が一時に押し寄せてくることがある。今がそうだ。他人から見れば、ちいさなさざ波に過ぎなくても、本人にとってはちょっとした事件だ。一つ一つの出来事は、それぞれ過去にそれ…

続続・本をならべる

本をどう整理するかが、僕にとって年来の課題だ。 絶対数を減らすのが一番かんじんなことだとはわかっているが、処分した本があとで必要になったりもするので、その選別作業に膨大なエネルギーが必要になり、時間ばかりかかって整理がまったくすすまなくなる…

日傘くるくる

日傘を始めて買ったのは、数年前の真夏の東京旅行だった。自分にとっての「聖地」を訪問したのだが、殺人的な暑さでコンビニで日傘に手を出した。しかし、その後も日常的に日傘を使うことはなかった。 今のJR通勤では、朝は正面から朝日を浴びて駅まで歩く…

ガチャガチャあれこれ(電柱とジョイフル)

電柱のマニアがいるというのは、ずいぶん前から聞いていた気がする。給水塔だとか火の見やぐらだとかマンホールだとかのマニアとともに、街の見慣れた構築物のマニアとしては老舗の部類に入るだろう。 電柱は、幼児の行動半径のなかにも必ずあるものだから、…

積読街のビル看板

このブログでは、「積読」という用語の登場頻度が多い。あまり一般的な言葉ではないだろうから、多少後ろめたく思ってはいるのだが、買った本をすぐに読むことがまれな僕のふるまいを、これ以上便利に表現する言葉はないのだ。 そんな僕には、ねがったりかな…

マッコリで二日酔いになる

読書会の二次会で、久しぶりにアルコールを飲んで、酔っぱらう。30年近く参加している会だから、今までに様々な恥ずかしいこと、悲惨なことを経験してきたから、多少羽目を外したところでどうということはない。 白っぽいプラスティックの容器に入った韓国の…

久しぶりに新聞を開く

コメダコーヒーでは、一般紙とスポーツ紙が読めるから、モーニングを食べながら、ざっと目を通してみる。新聞は紙面があたかもイデオロギーに統一されているかのように批判を受けることがあるが、こうして久しぶりに読んで気づくのは、あまりに雑多な情報が…

本の並べ方

書類やファイル、情報の整理というのは難しい。僕はとくにそれが大の苦手だ。本を集めたりながめたり時々読んだりするのは僕の唯一の趣味だから、本の整理だけはそこそこしているが、満足のいく並べ方ができているわけではない。 メインの本棚が4本あって、…

夏野菜のトマト煮(安部文範さんのレシピ)

朝日新聞の土曜版を開いたとき、そこに安部さん親子の写真を見つけて驚いた。家庭菜園の一角にしゃがみ込んで、収穫した野菜でいっぱいのザルを満足そうにかかげる安部さんとお父さんの写真だ。切り抜きをみると、2004年7月31日の日付があるから、今から18年…

スマホをこわす男

フォークナーを読んで、人間が意識が先回りするままに行動してしまうことや、上の空に何かをしてしまうことの描写にリアリティがあると思った。 僕も実際、何かに夢中になると、あれよあれよを突き進んでしまい、あとから何でこんなことをしてしまったのかと…

旅客機再入門(その2)

すぐに飛行機にのる機会があったので、空港でじっくり旅客機の機体を観察する。 やはり、かっこいい。しかし、どことなく単調な風景だ。かつてのジャンボのような個性的なスタイルの4発機や、DC-10のように尾翼にもエンジンを備えた3発機の姿はない。 ど…

旅客機再入門

職場の若い同僚に金曜の夜の予定を聞いてみたら、飛行場に飛行機を見に行くという意外な答えが返ってきた。飛行機が好きで、本当は空港の整備士になりたかったのだという。 こういう風変わりな趣味を聞くと、がぜん興味がわいて、真似をしたくなる。欲望とは…

合歓の木の話

しばらく前から、ババウラ池の縁に生えた木に見慣れない花がたくさん咲いていることに気づいていた。白い綿毛のハケみたいな花で、先の方はピンクに染まっている。シダの葉のような細かい葉もついている。 どこかで見たことのある木のような気もしてきて、ふ…

ブリキのおもちゃ

少し以前の話だが、先月の吉田さんとの勉強会で、食玩のブリキのおもちゃのミニチュアを持参した。その前の月に横山光輝の漫画のキャラの食玩を紹介して盛り上がったことに味を占めたものだ。 もう二十年近く前になるが、食玩(玩具がおまけについたお菓子)…

クレジットカード初体験

退職前にクレジットカードを作っておいた方がよい、というアドバイスに従って、自分の預金通帳を登録したカードを3月ギリギリになってつくって満足していた。そして、手元にたまっていた期限切れのクレジットカードの残骸みたいなものを、バッサバッサと処分…

いすゞ・ジェミニ ZZ ハンドリング バイ ロータス 1988

プレリュードにはあこがれていたけれども、購入したいという気持ちまではおきなかった。小型車で手に入れてみたいと思った唯一の車はいすゞのジェミニだった。 ジェミニ(二代目 1985-1990)は、当時、「街の遊撃手」というキャッチコピーで、パリの街並みを…

ホンダ・ビガー(2代目)1985-1989

ミニカー好きの少年も、大人になると自分の車を持つようになる。ただし、主として経済的な事情から、車に自分の好みや趣味を求めることはできず、自然と車への関心をうしなっていく。僕はお金のかかるものへの諦めはつくほうなのだ。 それでも一期一会の出会…

アストンマーティン DB5

たまにオモチャ屋さんをのぞくと、ついついミニカーのコーナーで足をとめてしまう。今回も何年振りかで、ミニカーを物色したのだが、珍しいアストンマーティンがあったので、迷わず勝ってしまった。 トミカは、通常のシリーズとは別に、恐らくは大人向けとし…

給湯器に祈る男

子育ての終わりごろは、経済的にかなり苦しかった。生活費やもろもろの必要経費、子どもの学費ですでに赤字になってしまうから、それ以外の不慮の出費にはなかなか対応できない。必要な家の補修(壁の塗り替えなど)も伸ばし伸ばしになっていた。 それでも冷…

クレジットカードがわからぬ男

定年本で、退職するとクレジットカードの審査が通りにくくなるから、在職中につくっておいた方がいいというアドバイスがあって気になっていた。 それで、なんとか息子の助言を受けて、自分の銀行口座で某社のクレジットカードを作ってみた。ネットで手続きも…

スマホがこわい男

定年後にむけて暮らしをダウンサイジングしないといけない。これは昨夏以来、ある程度すすめてきた。新聞購読をやめ、ほとんどの保険をやめた。しかし、スマホなど通信費の見直しについては、その経費の大きさから重要な課題であるにもかかわらず、今にいた…

こんにゃく(婚約)指輪

今月の勉強会のテーマは、少し柔らかくガチャポンにしようと思う。それで、近ごろはこまめにガチャポンのコーナーやお店をのぞくようにしているが、実際に購入してみたいものはそうそうない。 おでんの具が指輪になったシリーズがあって、これは最初にいいな…