大井川通信

大井川あたりの事ども

モノの話

スマホをこわす男

フォークナーを読んで、人間が意識が先回りするままに行動してしまうことや、上の空に何かをしてしまうことの描写にリアリティがあると思った。 僕も実際、何かに夢中になると、あれよあれよを突き進んでしまい、あとから何でこんなことをしてしまったのかと…

旅客機再入門(その2)

すぐに飛行機にのる機会があったので、空港でじっくり旅客機の機体を観察する。 やはり、かっこいい。しかし、どことなく単調な風景だ。かつてのジャンボのような個性的なスタイルの4発機や、DC-10のように尾翼にもエンジンを備えた3発機の姿はない。 ど…

旅客機再入門

職場の若い同僚に金曜の夜の予定を聞いてみたら、飛行場に飛行機を見に行くという意外な答えが返ってきた。飛行機が好きで、本当は空港の整備士になりたかったのだという。 こういう風変わりな趣味を聞くと、がぜん興味がわいて、真似をしたくなる。欲望とは…

合歓の木の話

しばらく前から、ババウラ池の縁に生えた木に見慣れない花がたくさん咲いていることに気づいていた。白い綿毛のハケみたいな花で、先の方はピンクに染まっている。シダの葉のような細かい葉もついている。 どこかで見たことのある木のような気もしてきて、ふ…

ブリキのおもちゃ

少し以前の話だが、先月の吉田さんとの勉強会で、食玩のブリキのおもちゃのミニチュアを持参した。その前の月に横山光輝の漫画のキャラの食玩を紹介して盛り上がったことに味を占めたものだ。 もう二十年近く前になるが、食玩(玩具がおまけについたお菓子)…

『手品と奇術の遊び方』 大野萬平 1973

永岡書店の実用百科シリーズの一冊。 古書店を見ていたら、店外に置かれてる棚の本のなかに見覚えのある背表紙のこの本を見つけた。手に取ってみると、装丁も挿絵も記事もみな懐かしい。僕が小学6年生の時の出版だから、まちがいなく手品のマイブームのさな…

クレジットカード初体験

退職前にクレジットカードを作っておいた方がよい、というアドバイスに従って、自分の預金通帳を登録したカードを3月ギリギリになってつくって満足していた。そして、手元にたまっていた期限切れのクレジットカードの残骸みたいなものを、バッサバッサと処分…

いすゞ・ジェミニ ZZ ハンドリング バイ ロータス 1988

プレリュードにはあこがれていたけれども、購入したいという気持ちまではおきなかった。小型車で手に入れてみたいと思った唯一の車はいすゞのジェミニだった。 ジェミニ(二代目 1985-1990)は、当時、「街の遊撃手」というキャッチコピーで、パリの街並みを…

ホンダ・ビガー(2代目)1985-1989

ミニカー好きの少年も、大人になると自分の車を持つようになる。ただし、主として経済的な事情から、車に自分の好みや趣味を求めることはできず、自然と車への関心をうしなっていく。僕はお金のかかるものへの諦めはつくほうなのだ。 それでも一期一会の出会…

アストンマーティン DB5

たまにオモチャ屋さんをのぞくと、ついついミニカーのコーナーで足をとめてしまう。今回も何年振りかで、ミニカーを物色したのだが、珍しいアストンマーティンがあったので、迷わず勝ってしまった。 トミカは、通常のシリーズとは別に、恐らくは大人向けとし…

給湯器に祈る男

子育ての終わりごろは、経済的にかなり苦しかった。生活費やもろもろの必要経費、子どもの学費ですでに赤字になってしまうから、それ以外の不慮の出費にはなかなか対応できない。必要な家の補修(壁の塗り替えなど)も伸ばし伸ばしになっていた。 それでも冷…

クレジットカードがわからぬ男

定年本で、退職するとクレジットカードの審査が通りにくくなるから、在職中につくっておいた方がいいというアドバイスがあって気になっていた。 それで、なんとか息子の助言を受けて、自分の銀行口座で某社のクレジットカードを作ってみた。ネットで手続きも…

スマホがこわい男

定年後にむけて暮らしをダウンサイジングしないといけない。これは昨夏以来、ある程度すすめてきた。新聞購読をやめ、ほとんどの保険をやめた。しかし、スマホなど通信費の見直しについては、その経費の大きさから重要な課題であるにもかかわらず、今にいた…

こんにゃく(婚約)指輪

今月の勉強会のテーマは、少し柔らかくガチャポンにしようと思う。それで、近ごろはこまめにガチャポンのコーナーやお店をのぞくようにしているが、実際に購入してみたいものはそうそうない。 おでんの具が指輪になったシリーズがあって、これは最初にいいな…

影絵の手

時々、ショッピングモールのガチャガチャ(ガチャポン)のコーナーで足を止めて、見入ってしまうことがある。それほど今のガチャガチャの中身は多彩で、アイデアの宝庫だ。よくこんなものを思いつくな、と思えるものもあれば、同じ発想を踏襲しているものも…

手帳を使い切る

僕は学生時代から手帳を使い始めて、結局還暦の今年まで、年末に選んだ手帳を翌年一年間使うということを続けてきた。すべての手帳は保管されていると思う。 若いころはうまく使えず空白ばかりのことも多かった。仕事のことはカレンダーなど手元のメモですま…

特別な記念日に何を食べるか

還暦の誕生日は、本人にとってかなり特別な記念日だろう。 成人を意味する二十歳の誕生日は大きいし、それ以降10年ごとの区切りの誕生日にも意味はあるが、次に文化的、制度的に大きな区切りは、60歳の誕生日となる。一線からの引退とか、老人になるとかとい…

ハンガーの話

クリーニング店のビニールハンガーを再利用するものだから、ちょっと気を抜くと家にハンガーがあふれるようになり、定期的に処分しなければならない。よく見ると、木製ハンガーの中には、ずいぶんと古いものがある。そこには義母の名前がペンで書かれたもの…

蔵書の話

今月は土日が埋まっているので、吉田さんとの例月の会を休日の日中に開くことができない。たまたま今日吉田さんに連絡をとると、午後から空いている時間があるというので、引っ越し祝いを兼ねて、新しいアパートを訪ねることにした。 吉田さんは大阪の事務所…

竹尺の謎

僕の今使っている部屋には、両親の仏壇めいたコーナーがあって、父親の蔵書だった本や実家にあった置物などを、両親の写真とともに並べている。そこにふと目をやると、一本の長い竹尺が目に入った。最後に実家を片付けたときに、懐かしくてもって帰ったもの…

切り株の話(ふたたび)

この夏は、和歌神社の銀杏の大木の下でカブトムシを何匹も見つけることができて、村の鎮守のビオトープ的な機能と、老木の効用について改めて思い知った。里山に入れば、大木が多く残されているが、集落の近くでは目立つ大きな木は数えるほどしかない。 鎮守…

タコブネが流れて来た

海流に乗ってじゃありません。残念ながら、「ネットの情報と物流に乗って」ですが、うれしかった。 海浜沿いの職場に4年間勤めていた時、ビーチコーミングに夢中になった。その時手に入れたもので珍しく一番美しかったものは、アオイガイという名のタコのつ…

見たくないものは見ないで捨てる

持ち物の中には、様々な過去の記録がある。その当時は、ぜひ残したいと積極的に判断していたものもあれば、自分にとっては苦痛な出来事の記録でも、いずれ役に立つことがあるかもしれないと保存しているものもある。 若い頃に書いた手紙の原稿などは、今では…

老前整理で持ち物を考える

今回、ここ何十年で記憶にないくらい徹底的な持ち物の整理をしている。きっかけは、コロナで死に直面した体験だけれども、それ以降、整理の手がとまらなくなったのは、別の原因が大きい気がする。 それはおそらく、僕が新しい仕事や生活を始めようと考え、そ…

10年日記の効用(その3)

こうして自分の50代の日々を通覧できる資料が手に入った。「仕事大全」のファイルも同じだけれども、そのずっしりとした重みを味わって、何度もぺらぺらとめくったりして、一冊へと物質化された時間を素手の感覚で扱うことが重要だ。僕たちがこうした作業抜…

10年日記の効用(その2)

今年はいろいろな意味で区切りの年になりそうだが、ちょうど自分がつけている10年日記の最後の年になる。 日記は、小学校の低学年の時から中学生まで、父の勧めで、というより完全に強制でつけさせられた。小学生の間はときどき父親がチェックして、つけて…

新聞をやめる

今年度は定年退職の年で、それなりの感慨はあったけれども、あと5年間は生活のために同じような仕事を続けるつもりでいた。ところがコロナ体験で、この貴重な期間をもっと別のことに使いたいと思うようになった。 そうなると今の仕事とは、あと九か月で完全…

老前整理を始める

コロナ療養でホテルに入る前、最低限これは残したくないと思いついたモノの処分をした。ホテルで気にかかって、長男に書き残したメモの大半も、自分のモノの保存や処分に関することだった。生命の危機に遭遇すると、自分と所有物との間には、ごく一時的な関…

三浦小平二のぐい呑み

ネットオークションで、なんとか落札した「ぐい吞み」が届く。高価な陶芸品を買うなんてことは初めてだし、この先もないだろう。 「染付アフリカ風景」と箱書きされた小さなぐい呑みで、牛二頭と遠い山並み、流れる雲が青絵具で素朴なタッチで描かれているだ…

コラムシフトの快楽

自宅の駐車場で車の車体をこすってしまい、修理工場の代車にしばらく乗ることになった。トヨタの何とかという車で、おそらくミニバンという車種の小さいものだろう。車内の空間が広々としていて、車高が高くのりやすい。 シフトレバーの位置が、運転席の隣の…