大井川通信

大井川あたりの事ども

虫のいろいろ

夏といえば虫だ

休日の早朝、大井川周辺を歩く。去年の今頃は、和歌神社の境内の銀杏の木の根元に謎のように毎朝カブトムシが落ちていた。大木がすべて切り払われて変に明るくなった境内ではそんなイリュージョンは起こりようがない。 ふと思いついて、昨年、コガタノゲンゴ…

ヒメハルゼミは健在でした

鎮守の杜が無残に伐採されてしまってから、和歌神社にはなかなか足が向かなかった。本当なら6月の終わりにはヒメハルゼミの合唱を聞きにいっていたところだ。ただ、このままシーズンが過ぎてしまうと、今年がどんな状況だったのか確認できない。 それで今日…

ラミーカミキリその他

朝、玄関わきのケヤキに小さな虫がとまっている。電車の時刻も迫っているから、スルーしようと思ったが、何歩か戻って、写真だけは撮っておくことにした。 10ミリくらいの小さな甲虫だが、身体のカラーリングが面白い。きれいに黒白に塗り分けられているが、…

小型黄金蜘蛛の隠れ帯

僕の家は、以前レッドロビンの垣根で囲われていたが、管理も悪いこともあって伸び放題の上、虫がついてかなり枯れてしまったので、3年ほど前、擬木のフェンスに替えた。そこだけは少し贅沢をして、擬木の板のうち一段をアルミの鋳造品を入れたのが我が家の自…

擬態を考える

昆虫の擬態について考えると、訳が分からなくなって、途方に暮れてしまう。しかし、今回は「カレハガ」が見事な擬態を見せてくれたのだから、そのことを考えずにはいられない。僕が考えられる範囲のことをメモしてみよう。 たとえば、僕の好きな蛾のオオスカ…

カレハガの擬態

僕の家の駐車スペースは、家屋の北側にあって、隣家の敷地(一メートル以上高い)との間に挟まれているから、少し湿っぽい。だから時々、珍しい昆虫がやってくる。 車の乗り降りの際に、家の壁板に枯れ葉が引っかかっているのに気づいた。次の乗り降りの時に…

消防用水のゲンゴロウ

休日の夕方、ほとんど期待もなく、大井を歩く。もう暗くなるし、単眼鏡をもってはいても、鳥を見る機会もないだろう。マスマルの集落をぐるっと回っているときだ。 道路わきには、消防用水のための小さな池があって、汚い水がたまっている。周囲は鉄条網で囲…

『素数ゼミの謎』 吉村仁 2005

もともと薄い本だけれども、解説の漫画のページも多く、実質は100頁にも満たないのではないか。しかし、生物学者である著者の研究論文をベースにしているだけに、その内容は濃く、とてつもなく面白い。 このセミの存在やこの本のことはうすうす知っていたが…

セミヤドリガ その4 -フィクションの試みとして

わたしは、夢の中で、少年の好奇心や幼い推理を楽しんでいた。少年の夏休みの自由研究というもの完成を応援したくなった。わたしはもちろん、ヒグラシやセミヤドリガといった生き物を実際に見たことはない。しかし、夢の中では、林の少し湿った空気や樹皮の…

セミヤドリガ その3 -フィクションの試みとして

そんなある日、僕は、あるヒグラシが、胴体によく目立つ大きな白い綿菓子のようなものをつけて飛んでいるのに気づいた。翌日には、同じような白い綿菓子をいくつもつけたまま、幹につかまっているヒグラシを見かけることができた。それは明らかに寄生虫に犯…

セミヤドリガ その2 -フィクションの試みとして

僕は、林の中を歩いていた。 そこは、ケヤキの植林だった。枝打ちされ、間引きされて、まっすぐに伸びた幹の間の空間は、比較的明るく、その斜面の山道を歩くのが、僕は好きだった。夏になると、僕の目当ては、植林のはずれにある雑木林で生まれるクワガタや…

セミヤドリガ その1 -フィクションの試みとして

わたしは、宇宙をさまよっていた。 わたしは宇宙船の上で生まれたのだと思う。気づいた時には、星々のきらめきの中を、わたしを乗せた宇宙船はどこまでもまっすぐに飛んでいた。ときたま、宇宙船は、光のない暗い天体の上に降りたった。すると船体は、ざらつ…

トラマルハナバチの蜜集め

子どもの頃から、クマバチが好きだった。まんまるな黒いおしり。これまた丸い胴体には黄金色の毛が生えている。大人になってからは、春の藤見の藤棚で見かけることが多かったが、かなり大きな姿を不快に思うことはなかった。 スズメバチはもちろん、どんな小…

カブトムシとの別れ

朝には元気だったカブトムシが、深夜帰宅してみると、昆虫ケースの中で仰向けにひっくり返って死んでいた。最後に入れた黒糖ゼリーをほぼ舐め切っているから、死の前まで食欲は旺盛だったのように見える。家に来て二か月。ほぼ天寿を全うして、人間でいえば…

オニグモの巣

僕が子どもの頃の小学館の昆虫の図鑑は、虫の姿は絵で描かれていた。カラー写真を使うのが高価だった時代だったのだ。しかし写真だと、その一枚の写真うつりで印象ががらりと変わる。絵の方がその種類の標準的な特徴をもりこめるというメリットがあるだろう…

ゲンゴロウの田んぼ総括

8月15日の「終戦記念日」に大井の田んぼで、大型ゲンゴロウ(正式な名称はコガタノゲンゴロウだからややこしいが)を見つけてから、足しげくその田んぼに足を運ぶようになった。こんなに田んぼをのぞくのは、10数年ぶりだ。 たしかに自然豊かな田んぼで、水…

トンボの話

職場の周囲には細い川が流れ、水路が張りめぐらされている。川をのぞくと、コサギやカルガモがエサを探してる姿を見かけるが、今の時期はトンボが飛び交っている。 銀色のシオカラトンボと黒い身体に腰の白が目立つコシアキトンボはすぐにわかるが、たくさん…

タガメには勝てない

月例の吉田さんとの勉強会。今月の奇跡の大型ゲンゴロウとの出会いを受けて、今回は実物資料に基づいた報告をしようと、茶目っ気を出す。 まずは、自分で拾ったアオイガイの殻と、先日ネット販売で手に入れたタコブネの殻。それに両者のガチャガチャの海洋生…

カイエビの泳ぎ方

コガタノゲンゴロウを目撃した田んぼで、ゲンゴロウの幼虫が、カイエビというものをエサとしているという話を書いた。 一センチにも満たない小さな生き物だが、妙に気になって引っかかる。自分がアオイガイ(カイダコ)とかタコブネとかが好きなことを思い出…

カイエビとホウネンエビ

コガタノゲンゴロウと運命的な出会いをした田んぼには、よく見るとたくさんのゲンゴロウの幼虫が泳いでいる。一センチあまりの色の薄いムカデみたいな形状で、頭部にはしっかりした大あごがあって肉食だ。 ただし、成虫の数ではヒメガムシの方が多いから、も…

大型種のゲンゴロウに出会う!

今から50年前の夏に、国立市谷保の田んぼで、小学生の僕は、体長一センチばかりの小さなゲンゴロウを採集するのに夢中だった。図鑑で見るような大きな黒光りするゲンゴロウは、公害問題の渦中にあった東京郊外ではすでに姿を消していたけれども。 今から16年…

カブトムシの研究

大井の鎮守の杜である和歌神社は、とても不思議な場所だ。 短い参道の先には田んぼが広がっているが、周囲には住宅があって、社殿背後の森も里山の開発からわずかに取り残されているだけだ。しかしそこがかなりの傾斜地であり、人が立ち入りにくい場所で、広…

ガムシの研究

タイトルは羊頭狗肉だ。本当は、研究なんてものではない。せいぜい「観察」くらいのものだけれども、僕は、この「研究」というタイトルがつけたくてたまらない。子どもの頃の「夏休みの自由研究」あたりの語感に由来する偏愛だろうか。世間の片隅の個人ブロ…

早起きは三文の徳(カブトムシを拾う)

早朝、大井を歩く。 住宅街から、秀円寺の裏山に入り、石段を降りて境内へ。ここは、かつての里山の雰囲気がかろうじて残されたところだ。途中、石仏の六地蔵にお参りすると、すぐ裏の樹木から大きな鳥影が飛び立った。羽音がしない。フクロウだ。 秀円寺は…

玉虫、飛ぶ

玄関先のケヤキの幹に、見える限りでも50匹以上のクマゼミがとまっている。こうしてみると、同じクマゼミでも色合いとか大きさとか形が微妙に違う。アブラゼミの姿はまったく見えないけれど、午後遅くなって、ジリジリというアブラゼミの声も聞こえるから、…

コガムシとゲンゴロウ

大井の田んぼで、はじめてゲンゴロウの仲間を見つけたのが2005年だから、それからもう15年が経つ。この辺りでも多少開発が進んで、秀円寺の前の田んぼも住宅街になってしまった。いつのまにか見かける水生昆虫の種類も減ってしまったような気がする。 にもか…

ヒメハルゼミとゲンゴロウ

コロナ騒動も落ち着いて、ようやく地元のセミの様子を調べる余裕がでてくる。 秀円寺の裏山から大井に降りようと近づくと、はやくもヒメハルゼミらしき声が聞こえてくる。一昨年、昨年と気づかなかった。秀円寺の並びにある和歌神社まで来ると、鎮守の杜では…

カエルくんの獲物

我が家の玄関先には、ブリキのカエルの人形が置いてある。素朴なカエルの造形なのだが、起き上がった姿勢で、左肩に棒のようなものを担いで、人間みたいに歩いている姿だ。 その担ぎ棒の先端に、セミの抜け殻が二個ついている。よく見ると、空だった右手のて…

アゲハの羽化

朝出勤する時、駐車場の裏のブロック塀に、見たこともないような美しい大きな蝶が止まっているのに気づいた。透明にかがやく羽に、艶やかな帯の彩りがある。印象は新鮮なのだが、デザイン的には見たことがあると思っていたら、普通のアゲハ蝶(あとで図鑑で…

セミと現代詩

セミは僕の大切な持ちネタで、このブログでもたくさん記事を書いてきたが、まだセミヤドリガのことについては書いていない。セミヤドリガとの出会いは、ちょうど10年前の夏の忘れられない思い出である。セミヤドリガのために、僕は生まれて初めて骨折をして…