大井川通信

大井川あたりの事ども

言葉ノート

「へこむ・凹む」再論

国木田独歩の短編を読んでいたら、こんな文章を見つけた。 「僕が高慢な老人を凹ましたかのか、老人から自分の高慢を凹まされたのか分からなくなったが、兎も角、少しは凹ましてやった積で宅に帰り、この事を父に語った」(「初恋」1900) まさに、凹むのオ…

『熟語公式で訳す英文解釈問題集2』 篠崎書林 1993

高校の英語の授業は、当時、リーダー(読解)とグラマー(文法)とコンポ(作文)に分かれていた。といっても、みんなでそう言い慣わしていたからそう呼んでいただけで、授業の中身がきちんとその言葉通りに切り分けられていたわけではない。 教科書は指定さ…

ご注文ありがとにゃん!

休日、早朝からのファミレスで読書を楽しむ。ここは注文がタブレットだから、さらに気楽だ。ドリンクを飲んでいると、どこからか不可思議な音楽が近づいてくる。顔をあげると、目の前にフラフラと配膳用のロボットが現れた。 まったく予想もしていない事態だ…

キラキラとシワシワ

キラキラネーム(の問題点)については、世間でもかなり認知されているだろう。少し前に近ごろの子どもたちの名簿を見た時に、読めない名前の多さに驚いてしまった。純然たるキラキラネームではなくとも、名前のキラキラ化はすすんでいるようだ。 最近、シワ…

高本裕迅の基礎英語2

僕が中学生の頃は、HNKラジオの「基礎英語」と「続基礎英語」が、ネイティブの発音に触れる唯一といっていい機会だった。あと、中学教師が授業で使うラジカセのテープの音声。先生たちの発音はおせいじにも上手とは言えなかった。 両講座の内容は中学生には…

隙自語

ネットスラングで、ネット上の掲示板などで使われる言葉なのを、最近知った。スキジゴ」または「スキアレバ、ジブンガタリ」と読む。 意味は、まさに、「隙あれば自分語り」ということで、匿名の掲示板などで空気を読まずに自分のことを長々と語ってしまう嫌…

「山はいいよ、山は死なないから」

山川菊栄『わが住む村』から。村で育った昔の娘さんたちにとって、山へ焚き木をひろいにいくことは楽しい仕事の一つで、友達といっしょに山に遊びにいくような気分だったという。 「山はいいね。山に行って燃し木を掻(か)いてくるぐらい楽しみなものはない…

一代終えるのは「やおいかん」

タリーズコーヒーで例のごとく勉強していると、となりの席に男性が座った。髪が少し伸びていて、やや太めのラフな恰好をしたおじさん、といっても僕よりはだいぶ若いだろう。その向かいには同じくらいの年かっこうの女性が座って、二人の会話はいやでも耳に…

馬柱とは何か

競馬に触れるようになって、馬柱という奇妙なコトバを知った。 馬柱ってなんだろう。「人柱」なら、築城や架橋や堤防工事のときの神にささげる生贄のことだから、少し不穏で残酷な匂いがする。レース中の事故で亡くなった馬を祀った慰霊碑みたいなものだろう…

アラっと修復、アラントイン

アラントインは医薬品に配合される組織修復成分。目薬や口内炎の薬などに入っている。この成分名と効用を覚えるためのごろ合わせが、「アラっと修復、アラントイン」だ。 医薬品の登録販売者の試験では、医薬品とその成分を覚えるのに苦労する。僕にはまった…

人を呪わば穴二つ

他人に害を与えれば、必ず自分にかえってくるということ。他人を呪い殺せば、自分も相手の恨みの報いで呪い殺され、結果墓穴が二つ必要になるということから。漠然と口にしてはいたが、意味まで調べたことはなかったので、こうまでダイナミックかつダイレク…

犬が3匹、猫が2匹、鳥が1羽、カメが1個

この住宅団地に転居したての時のご近所さんで、ずいぶん前に関東に引っ越した家の奥さんと、妻は今でも連絡を取っているようだ。いっしょに子育てをして子ども同士を遊ばせていたから、きずなが深いのかもしれない。 その友人の家にいかにペットが多いかを、…

『英語の構文150』 高梨健吉 1969

高校時代の英語の参考書といえば、美誠社の構文シリーズが懐かしい。授業の副読本に指定されたのは、1978年の改訂新版だったかもしれない。この本は、その後、新訂版、改訂版と引き継がれ、1999年まで30年に渡って発行されている。 2000年以降は、New Editon…

しゃちこばる

本を読んでいたら、「しゃちこばる」という言葉が使われていた。 まるでなじみがない言葉に出会うのは、この年齢まで本を読んできて、今さらあまりない経験だ。ただし、まったく手がかりがないわけではない。緊張して硬くなるという意味だとは、なんとなく想…

保険とは愛を売ることだ

定年前後についてのマニュアル本で、日本人が無駄な保険に多く入っていること、とくに定年の時期になるとほとんどの保険が不要であることが指摘されていて、なるほどと思った。 ちょうど定年後の新生活に向けて、無駄な出費を削っているところで、最低限の保…

食べ放題で食べすぎる/読書会で言いすぎる

今回のコロナ騒動では、我が家では4人中3人が感染・発症し、ホテルに隔離されて、親二人が緊急入院するというダメージを受けた。 自宅では、濃厚接触者の長男と猫2匹の生活が1週間続いたあと、次の1週間は次男が戻り、次は妻、最後に僕と、毎週帰還者が加わ…

ハッピーバースデー、梅雨(ツーユー)

今日でこの地方も梅雨入り。 平年で6月5日頃が梅雨入りというから、それより3週間ほど早い記録的な梅雨入りだそうだ。過去の記録を見ると、始まりが早いからといって必ずしも終わりも早くなるわけではないらしい。梅雨明けが7月中旬とするなら、二か月間もう…

青葉若葉の日の光

毎年当たり前に受け取っている季節と自然の変化だけれども、今年は、鳥や虫以外にもできるだけ気に留めてみたいと思っている。 4月の後半くらいから、気になるようになったのが、里山の新緑の勢いだ。ほとんどが常緑樹のはずだが、この季節に新しい葉をいっ…

窮屈な靴をはきなさい

英語の名言集から。 失恋を乗り越えるための方法として、窮屈な靴を履くことがアドバイスされる。靴が気になって外の事が全部忘れられるから、というのがその理由。 この名言は、初めて聞いた。しかし、一歩一歩が痛くてたまらないほどきつい靴なら、そうい…

10年間日記をつけるとひとかどの人物になれる

英語の名言集みたいなものを読んでいたら、この言葉に出くわして、思わずにんまりした。原文は、Keeping a diary for ten years makes you somebody. 今年ちょうど10年連続日記の最終年をつけている。この言葉通りなら、そろそろ僕もひとかどの人物になって…

道路族と道草族

「道路族」という言葉があることを、新聞記事で知った。生活道路で遊んで大声を発したり、他人の敷地に入ったりするなどの行為をする子どもや大人を揶揄する言葉らしい。子どもの道での遊びや、大人の井戸端会議までが批判の対象になっているのを見て、ちょ…

あだ名はうしろに伸びていく

あだ名や愛称の法則については、ここに何度か書いてきたが、それでわかったのは、人物のあだ名や愛称は、その後半の部分だけになったり、そこに何かが付加されたりで、うしろに伸びていく傾向があることだ。 一年前から家に戻って、すっかり兄弟仲がよくなっ…

トンネルから~♪ さようならのこと♪

「ぐるっとまわって、ビッグウェイ♪」のことを、妻に話してみたら、長男は別の作詞作曲もしていたと言って、こんな節を口ずさむ。 「トンネルから~♪ さようならのこと♪」 そうだった! 知人の子どものトンネルエピソードに触発されたなら、こちらをまっさき…

ぐるっとまわって、ビッグウエイ♪

若い人と話していたら、幼い子どもが好きなモノについて面白い話を聞いた。彼は教師なのだけれども、生徒たちの興味が向かう方向が分からない、自分の子どもについてはいっそうわからない、ということだった。 彼の子どもは電車が好きなのだが、よくよく聞い…

タワシとキノコとオサビシヤマ

次男は、小さいころから髪の毛が剛毛だったから、長男が「タワシ」とあだ名をつけてからかっていた。ずいぶん長いこと、タワシ君とか呼んでいたと思う。 長男は猫好きで、昨年末に実家に戻ってからは、猫の九太郎をそれこそ猫可愛がりしている、九太郎先生と…

「仕事・大井川・理論・文芸・ワタル」

「お財布・携帯・鍵」というのが、昔から外出の際の僕の個人的標語なのだが、うまく活用できているとはいいがたい。肝心の時に、この標語を唱えるのを忘れるのだ。だから、携帯やお財布を平気で忘れて、家や外出先に取りに戻ったりする。 最近は、これに「メ…

近所は宇宙だ

近ごろ、ネットのコマーシャルでこのキャッチコピーをよく見かける。 コロナ禍で、観光業は、マイクロツーリズムという近場への観光に活路を見出そうとしている。同様に飲食業も、近場での需要の喚起をねらっているのだろうか。コマーシャルの内容は、ネット…

トコトコとペコン(続き)

数日して信号機の近くで、またあの女の子らしき姿を見つける。そのあたりは歩道がひろく、ベンチも設置してあるのだが、女の子は、誰か友だちを待っているのか、真赤なランドセルを広げて、中のモノを取り出している。 何をしているのだろう。子どものするこ…

トコトコとペコン

押しボタン式の信号機のある横断歩道で、小学校一年生くらいの女の子が、手をあげてトコトコと渡る。渡り切ると、両側の自動車(一台は僕の車)にむかって、それぞれペコンとお辞儀をした。 道を渡っているとき、女の子の頬に光るものが見えた気がしたので、…

ホルモンと桃太郎

数人で焼肉と本場のホルモン鍋をつつく。とある業界の大物が主役の会だったが、なかなか気さくな好人物だった。その人の話。 ホルモンとは、大阪の方の言葉で、ほおる(捨てる)もん(モノ)からきているという。これは、なるほどと思える説だ。 川上から桃…