大井川通信

大井川あたりの事ども

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

龍岩寺奥院礼堂を参拝する

4月の初旬に引き続いて、国東半島で一泊する。僕がはじめてこの地を訪れたのは、社会人になったばかりの頃で、その時参拝した泉福寺や龍岩寺のことは強い印象として残っている。中年過ぎてから、国東と縁が深くなったのは、妻の彫金の先生のアトリエがある…

真宗本堂について

宇佐でごく短時間だったけれど、浄土真宗寺院の大規模な本堂に立ち寄った。以前から気になっていたのだが、国の文化財に指定されていないこともあって見過ごしてきたのだ。しかし想像より面白い場所だった。 正式名称は、「本願寺四日市別院」と「真宗大谷派…

『反哲学入門』 木田元 2007

2010年に文庫化されたものを購入していた。講談社学術文庫やちくま学芸文庫なら学術書扱いで別にまとめてあるが、新潮文庫だから本棚の奥深くに埋もれていた。偶然見つけて読んでみることに。 面白かった。解説の三浦雅士が、まぎれもない名著だといい、若い…

ゴロリに相談する

読書会の二次会で、金光教研究のことを詩人で大学教授のゴロリに相談する。参加者が僕を含めて3人しかいなかったので、相談を持ち掛けやすかった。 ゴロリは、京都大学を卒業後、NHKに就職した。番組制作などにかかわったが、退職。東大の大学院で英文学を学…

はっちゃんの命日

猫のはっちゃんが亡くなって5年が経った。おしゃれな生地の袋をまとった小さな骨壺は、テレビの棚に置かれたままだが、まるで気にならない。おそらくこのままでいくだろう。袋には、はっちゃんの写真が飾られている。今日は、妻が好物の缶詰をお供えしてい…

『水中の哲学者たち』 永井玲衣 2021

読書会の課題図書だが、三分の一強読んだところで挫折してしまった。拒絶反応が起きてしまったのだ。普通考えたら、哲学研究者が哲学対話に関わりながら考えたことを、実体験に即して読みやすい文章とわかりやすい比喩で書いている素直な本だから、スラスラ…

古い動画を掘り起こす

画像の次は、動画だ。 僕がビデオカメラを購入したのは、やはり子どもの誕生がきっかけで、VHSの小さなカセットに録画するビデオカメラを95年から7年くらい使ったと思う。長男の誕生から次男の赤ちゃんの頃までの動画(祖父母の姿も多く映っている)が、数…

古い画像を掘り起こす

たぶん2000年頃まで、写真は「写ルンです」みたいなフィルム付きカメラか、それらと殆ど性能の変わらない簡易カメラで撮っていたと思う。フイルムだから写真屋さんに原像に出すことになる。だから写真はプリントされたものが手元に残った。ちょうど子育て真…

『呪われた腕 ハーディ傑作選』 トマス・ハーディ 2016

1968年に新潮文庫で改訳発行された短編集を、近年「村上柴田翻訳堂」(全10冊)の一冊として改題して復刊させたもの。トマス・ハーディ(1840-1928)の小説で今新刊書店で手に入るものはこれだけのようだ。 サマセット・モーム(1874-1965)の『お菓子とビ…

こんな夢をみた(人事異動)

とても忙しい部署に異動が決まってしまった。直接の上司は〇〇課長。部長は△△さん。どちらも実際にお世話になり、とっくの昔に退職した人たちだ。しかし夢の中ではそんなことは気にならない。 仕事は大学の教職員の人事だ。これは経験したことがないし、どの…

早朝のファミレスで作戦を練る

大村さんとの対話に端を発して、井手先生への宣言、どうあげ女史への相談を通じて、僕の研究願望はしっかり頭をもたげてきた。どんな形で実を結ぶのか、結ばないのかはわからないが、テーマ的にも年齢的にも今回のチャンスを逃したら、今後の人生で研究にア…

どうあげ先生に相談する

どうあげ先生に電話をして吉塚駅前で会う。そのことを記事にしていいかどうか迷ったが、ブログ内を検索すると、わずか半年前にどうあげ先生についてかなり踏み込んで書いている。記憶はいい加減なものだ。 用件はこうだ。金光教についてより広い視野で考えて…

大手拓次を読む

文学者の忌日にその作品を読むという取組は、ここ数か月、スルーに次ぐスルーを繰り返してきた。しかし大手拓次(1887-1934)は、せっかくの機会を逃したくない。 学生時代から魅かれてきたとはいえ、そこまで作品になじんできたわけではないが、近年の偶然…

天神で喜多方ラーメンを食べる

僕のきわめて貧弱なB級グルメ生活においても、それなりのドラマはある。僕が唯一その関わりが自慢できる「すた丼」のチェーン店が福岡天神に出現したこと、餃子の王将が地元に3度目の返り咲きを果たしてくれたこと、トマトラーメンの「発見」等々。 そして…

『光と風と夢』(中島敦 1942)から

・・静かだった。甘藷の葉摺の 外、何も聞えなかつた。 私は自分の短い影を見なが ら歩いてゐた。 かなり長いこと、歩いた。 ふと、妙なことが起った。 私が私に聞いたのだ。 俺は誰だと。名前なんか 符號に過ぎない。 一體、お前は何者だ? この熱帯の白い…

「今年の日記から 製造所資材二課 松井恒弥」(リッカーミシン社報1968年12月号 随筆欄)

某月某日 午ごろ一家で街にでた。この春最高とおもわれる暖かさである。山吹れんぎょうの黄、木蓮の紫、雪柳の白、等々、多彩な色の饗宴に花の春は今が盛りかとおもわれる。 オモチャ・フレンドで安彦にリモコンのジープ、玉田で倫子に約束の自転車をかった…

今あるもので満足すればいいじゃない

モームの小説には、紙面から浮き上がってくるような名言が多い。『お菓子とビール』から。 ロウジ―は、若き医学生のアシャンデンが、彼女の男関係を嫉妬するのを知って、こんなふうに言う。 「どうして他の人のことで頭を悩ますの? あなたにとって何の不都…

行橋詣で(2024年4月)

年度末と年度初めの多忙さで、自分自身と自分の暮らしの矮小さにあらためて気づかされる中、気を取り直して、新年度最初のお参りにでかける。国東半島の両子寺の有名な仁王像の誕生年が金光大神と同じ文化11年(1814年)であることの縁で、寺で売られていた…

美は退屈である

モームの小説『ビールとお菓子』から。 「美は恍惚であり、空腹のように単純だ。美について何か語るべきことなどありはしない。バラの香水のようなもので、香りを嗅いで、それでおしまい。だからこそ、芸術の批評というのは、美と無関係つまり芸術と無関係で…

『お菓子とビール』 サマセット・モーム 1930

モーム(1874-1965)の小説は面白い。僕に小説を読む楽しさを与えてくれる数少ない作家のひとりだ。5年ばかり前に、読書会の課題図書をきっかけにまとめて読んだ時期があったのだが、その後で思いついて買っておいた文庫本の頁をめくってみた。 とにかく登…

次男の入校式

次男の障害者職業能力開発校の入学式に夫婦同伴で参加する。次男が入学する総合実務科(知的障碍者対象)の人数は3名で、専属のスタッフの数も同じだから手厚い指導が受けられるだろう。親はどうしても欲目で見てしまうが、次男のコミュ力はかなり限定的だ。…

臼杵石仏に驚く

国東市に一泊して、さて翌日どうしようかと悩んだ。前日に国東半島は一人で堪能している。今日も再訪では刺激が少ない。それで足を延ばして臼杵まで行くことにした。別府、大分市の先の臼杵を訪ねる機会は今までなかった。石仏が自慢といっても、それなら国…

富貴寺大堂を観る

妻の送り迎えで国東半島に行く。メタルアートの先生のアトリエで、べっ甲アクセサリーのワークショップがあるためだが、その待ち時間、僕に自由時間ができた。国東半島は若い頃から好きで、何度も来ているので、いざ自由行動できるとなると行先に困る。そこ…

道玄坂の100年(つづき)

先月18日の父親の生誕百年の記念日の記事で、渋谷道玄坂のカフェでお祝いをしたことを書いた。その文を、次のように結んだ。 「渋谷にあふれる人の波を見ながら、この中に父のことを知る人が(僕以外)誰もいないということを、当たり前でありながらとても不…

父が書いたもの

あらためて考えてみると、父は書いたものをほとんど残さなかった。今のように誰もがSNS に手を出すような時代ではないから、一般の人が何かを書いて発信するということは稀だった。ただし、父は文学好きで、小説以外でも思想や詩歌、古典についての専門書も…

柳川異聞

午後の空き時間を利用して柳川に行く。自宅から柳川まで自動車で行くとなると、かなりおっくうな長旅だ。しかし、職場のある福岡市から西鉄電車の特急に乗ると、驚くほど短時間で柳川に着く。特急は車両を揺らしてしゃかりきに飛ばすが、乗客はぼんやり揺さ…

国東半島の電波少年

吉田さんとの勉強会「宮司の会」も今回で60回。コロナ禍等で出来なかった何回かをのぞけば毎月実施しているから、ほぼ5年続けたことになる。 2005年から始めた安部さんとの「9月の会」が、57回続いたので、それを越えることをぼんやり目標にしていたところ…

『押絵の奇蹟』 夢野久作 1929

角川文庫で読む。久作の短編集の新刊や復刊が続々出版されており、角川文庫が夢野作品を手軽に数多く読めるシリーズになっている。 表題作のほかに、『氷の涯』(1933年)と『あやかしの太鼓』(1926年)が収録されている。『氷の涯』を筆頭に中編と呼べる分…

こんな夢をみた(モンゴル人の陳情)

僕は市役所の職員のようだった。役所でモンゴル系の在留の人たちのグループからの陳情を受けていた。いろいろな項目があるが、目玉は、モンゴル人たちが工場をやっている土地の権利関係の問題のようだった。若い職員たちがそんなことを噂していた。 現場に行…

サークルあれこれ(番外編:教育研究会)

記事が遅れがちになり、東京旅行もはさむことから、ある程度回数を稼げるテーマとして苦し紛れに「勉強会・読書会・サークル」シリーズを書き始めたのだが、自分の学びを振り返るよい機会となった。ちょうど新年度から、自分の学びを更新し、ブーストをかけ…