大井川通信

大井川あたりの事ども

古い画像を掘り起こす

たぶん2000年頃まで、写真は「写ルンです」みたいなフィルム付きカメラか、それらと殆ど性能の変わらない簡易カメラで撮っていたと思う。フイルムだから写真屋さんに原像に出すことになる。だから写真はプリントされたものが手元に残った。ちょうど子育て真っ最中だから、大量に子どもの写真が保存されてある。

2000年の半ば頃から、僕もデジタルカメラを導入するようになると、撮影枚数をけちる必要がなくなって画像データは増える一方になるが、特別な理由がなければプリントアウトされなくなる。データはカードを経由して、パソコンのハードデスクに保存されることになる。

その時代が10年くらい続き、今度はスマホが登場して、性能が向上して次第にカメラの役割を担うようになる。それで画像データはスマホに置かれたままになり、次にはネット上のクラウド環境に保存されることになる。プリントアウトはいっそうしなくなる。

この経過はまったく無自覚だったが、振り返るとこんなところで大筋間違いはないだろう。すると残されているものは、大量の昔の未整理の写真プリントがあるばかりで、それ以降のデータは行方不明ということになる。

これは本当はまずい事態だ。ある時代の僕の生きた証が、風前の灯ということだからだ。僕は生真面目にデータのバックアップを取ることができない人間なので、データはパソコンのハードデスクに眠ったままのはずだ。

僕は、1990年代後半から、4台のノートパソコンを使ってきた。一代目は液晶画面が壊れてしまったので、素人にはそれ以上の操作ができなくなった。そもそもケーブル等の接続方法が旧型だったので、移し替えてない画像データもあったと思う。

二台目のパソコンは、今回久しぶりに立ち上げたのだが、操作はスムースに行えた。このハードデスクに大量のデジカメデータが保存されていて、バックアップもせずに放置されていたのだ。USBの差込口もあって、USBメモリーになんなくデータのバックアップをとることができた。危ないところだったと思う。そもそもこのパソコンが起動できるかあやしかったし、デジカメのバックアップデータも他には見つからなかったのだ。

三代目のパソコンは、スマホ時代のものだから、画像データはほとんどなかった。

しっかりした人からはだらしないと思われるにちがいないが、こうした交通整理だけでも生活の質はだいぶ向上する気がする。