大井川通信

大井川あたりの事ども

聞き書きを整理する

3月末に金光教研究を決意して、4月に研究のプロである知人に相談した。それで、今までの自分に、執筆に関して業績らしきものが何もないことに気づいた。「作文」を書くことに開き直ってきたからだ。

僕がこの10年ばかりの間、ライフワークと思って実践しつつ書き継いできたのは、大井川歩きとその通信だ。とりあえずこのテーマのもとに筋の通った「作品」を仕上げることが必要だろう。と考えても、散漫に書き散らし、考え散らかしてきた内容をどのようにまとめるか、初めの一歩が踏み出せないでいた。

とりあえず思いついたのが、大井川流域での聞き取り・聞き書きを整理する事で、思い付きでそれをエクセルの表に打ち込むことだった。聞き書きメモは、A5のノートや作文に散らばっている。以前一度だけそれを新しいノートに清書しようとしてみたが、時系列も内容別もままならない中途半端なものに終わってしまった。

エクセルなら、いくらでも順番を入れ替えることができるし、聞き取りに関する項目を追加するのも自由自在だ。順不同で興味の赴くままに入力しているうちに、うまく形が整ってきた。大井川歩きの聞き取りには、テーマとして浮上してきた項目がいくつかある。一回の聞き取りでも、その幾つかの項目に触れることになる。

だから、テーマ別にタブを増やして、別々のシートに記入することにした。行のコピーをすれば、他のシートに情報を追加することは簡単だ。こうして、僕にとってはもはや自明だったテーマがいっそうはっきりしてきた。

「ヒラトモサマ」「クロスミサマ」「ミロクサマ」「大井始まった山伏」「大井炭鉱」「里山環境」等がその項目だ。聞き書きを分類整理していくと、その内容や分量が貧弱であることにがっかりもするが、テーマごとの問題点がはっきりしていく。この10年で多くの人が亡くなっているが、必要があれば、今回追加で聞き取りすることも可能だろう。こうしてデータは、少ないながら整理の見込が立った。

では、データをまとめる文章や考察、分析についてはどうするか。これらは、今まで大井川通信の手紙編(約30通)とブログ編の「大井川歩き」「神仏」等のタイトルの記事として書き散らしてある。すべて書いた当時の考察や思い付きで、あとからまとめ直したりはしていない。これを先ほどの項目ごとに、個々の文章を活かしながら書き直していくのは至難の業だ。

ここでピタリと筆がとまってしまったのだが、無理をせずにできることからという方針に開き直ることで、何とか切り抜けることができそうだ。僕にとって、ブログを書いてそれをカテゴリーごとに分類する作業は日常と化している。

先ほどの聞き取りの分類で作った項目に「方法論」等を足したカテゴリーを、ブログに新たに設けて、該当する内容の過去記事をまずは機械的に分類していくのだ。これはこれで労力が必要だが、あまり悩まずにタイトル毎の文章の集積を生み出すことができる。同じテーマの文章が並べてみると、その時々で一生懸命に考えたアイデアには輝きもある。取捨選択をしてつなげれば、ある程度ものになるのではないか。

ここまでくると、全体の執筆方針も見えてくる。論文としての形式を整えるなどハードルをあげたら進まないだろう。一冊のテーマを持った本をゆるく作る、ただし読み物として面白く、筋道のしっかりしたものをまとめる、というくらいの方針でいいのではないか。

 

※本ブログの振り返りの方法をなんとか思いついた文章が、期せずして2500番目の記事となった。感慨深い。