大井川通信

大井川あたりの事ども

家族

お互いに空気であること

近代短歌の名作集を読んでいたら、老いた作者が、その妻を「空気」みたいな存在だと表現する歌があった。昔の歌なので、当時から「空気」という比喩表現があったことに驚く参加者の声もあった。 たしかに高齢になってお互いが空気の様に気にならなくなった夫…

九太郎5歳!

僕はずっとペットを飼ったことがなかった。だから、子どものいない夫婦がペットを可愛がっているのを見た時など、子どものかわりに、あくまでも本物のかわりの偽物として、やむなくペットを飼っているのだろうと漠然と感じていた。 失礼な感想を抱いていたも…

家族優先の原則

玄関の脇に、大きなキャリーバックが置いてある。明日、妻が天神のお店にスペースを借りて小物を出品するからその準備だろう。思ったより大きなバックなので、持ち上げてみるとかなり重い。これはまずい、と思った。 かなり前から明日の出品は自分で電車にの…

それぞれの戦い

新年になって一か月が経とうとしている。宇部へのプチ家出から始まった一年は、僕にとって幸先のいいものではなかったが、家族もそれぞれに難局を迎えているようだ。 長男は、転職活動で内定をもらい今のレアメタルの会社を辞めることになりそうだ。初めの転…

永福町商店街を歩く

父親には姉が二人いて、長女は赤坂、次女は永福町に住んでいた。それぞれ赤坂のおばさん、永福町のおばさんと呼んでいて、親しくしていた。どちらも商店街で小さな店を構え、赤坂は金物屋、永福町は古物商を営んでいた。 永福町のおばさんは、家もちかく、父…

長崎ドライブ

秋の行楽シーズンとなったので、出不精の僕も計画を立てて家族でドライブに出かけた。今年は次男も求職活動中で家にいるから、ゆっくり三人で旅行するいい機会なのだ。ただし、家には猫がいるので、せいぜい一泊くらいしかできない。 それで、妻が名前をあげ…

午後5時15分

職場をフライング気味に出て、連絡のいい快速電車にのると、一時間もかからずに家に帰宅することができる。 住宅街の入り口のババウラ池の近くまで歩いてきて、ふと時計を見ると、午後5時15分の表示が出ていた。この時刻には見覚えがある。 父親がリーカ…

妻を鍼灸院に送り迎えする

運転の得意でない妻の送迎は僕の仕事だ。休日のスーパーや道の駅での買い物は送迎というより共同作業。水曜の晩のヨガ教室や、定期的な通院などは当然のように僕がハンドルを握る。習い事をする娘並みの高待遇だと思うのだが、あまり感謝はされていない。 こ…

次男の子育て(職業能力開発校試験)

9月から次男にハローワークの失業給付がでるようになった。もともと給与が低かったから、基本手当の割引率が低く、働いていた時とさほど変わらない給付がでる。うれしい反面、微妙な感じではある。また、給付額が多いので、僕の健康保険の被扶養者の収入限度…

母の晩年

母親は、病気で衰えても、最期まで気丈でしっかりものだったが、認知機能に衰えを感じさせる場面もあった。 毎年お祝いをしてきた娘(姉)の誕生日を思い出せなくなったと姉ががっかりしていたが、僕も母から昔の親族の話を聞いているときに、父方の二人の叔…

職業能力開発校のオープンキャンパスにいく

次男は、相変わらず自宅で快適な生活を送っている。兄のあとを引き継いだ二階の個室には冷蔵庫もあるし、一階に下りれば、母親も猫二匹もいる。もともと他人とのコミュニケーションを煩わしく思うタイプだから、それで十分なのだ。 家にばかりいるわけではな…

ボンちゃん3歳!

去年の誕生日に「いつかは二匹が身体を寄せ合ったりするようになるかもしれない」と書いたけれども、九とボンとの距離間は、一進一退というか、つかず離れずというか、大きく改善する気配はない。アクシデント的に接近遭遇することはあるが、それは二年も前…

おしりを引きずる九太郎

居間と廊下の間には、ガラスをはめた木製のドアがある。ドアが閉まっているときには、廊下側でボンちゃんが立ち上がって、こちらむきに前足でガラスをこする仕草をする。短い前足を上下させてガラスを拭いているようにも見えるし、ドアを開けてくれとアピー…

兄弟悲喜こもごも

夕方、長男から電話がある。7月上旬の東京行きの土日にひとり家に残る妻の相手をしてほしいという頼みをしていたのだが、その返事だけで電話をくれるとは思えない。仕事が終わったばかりなのか、なんだか声も弾んでいる。 その頼み事のラインをしたとき聞い…

次男の子育て(転職活動をぼちぼちと)

次男が会社を辞めることになったとき、すぐに再就職を目指すのではなく、少し休ませてあげたいという思いがあった。高校卒業後6年間みっちり働いて貯金もできた。大学に行くことを思えば、数年くらいは充電期間があってもいいのではないか。僕もあと4年間…

次男の子育て(仕事と年金)

なんとか就職できた先は、介護施設を全国展開する企業で、創業社長が一代で築きあげた会社だった。入社前から研修があり、本社での入社式も、障害のある次男も別扱いせずにいっしょに行い、参加した妻がその名物社長と応接室で親しく話をして会社の本をもら…

次男の子育て(高校生活と就職活動)

高校は10人くらいのクラスで、先生の目の届く良い環境だったと思う。三年の英語の授業参観では、けっこうしっかり授業しているのに驚いた。実習は木工を選び、小さな椅子やベンチ、三段の抽斗などを作ってきて、今でも自宅の家具として使っている。 長期休…

次男の子育て(寮生活)

「次男の子育て」をテーマにした連載記事が、しばらく中断していた。彼も成人して立派な社会人となっているが、親としての関わり(子育て)は継続中だ。ここにきて、その面でも大きな変化が生じている。タイトルだけ決めていた以前の記事を再び書き始めるこ…

母の命日

今日で、母が亡くなって5年になる。両親、とくに母親からの無条件の愛情というものは、時に重荷になったりうっとおしく思ったりするけれども、やはり自分の人生を前向きにとらえていくうえで大切なものなのだと思う。 母親が亡くなって、そうした無条件の愛…

次男の子育て(退職願)

3月の終わりごろからまた次男の仕事の愚痴が多くなった。それだけでなく、睡眠不足だったり、吐き気がしたりしているという。 昨年八月に地元の職場に転勤したときにも、辞めたいという意思表示が強かったが、それは新しい環境への一種の拒絶反応であって、…

猫たちのパネル展

隣町の巨大ショッピングモールで、飼い猫の写真のパネル展のための募集があった。なんでも猫カフェの新規開店を記念しての企画だという。 妻はこの手のことに素早く反応するときがあって、今回は説明文をつけて、えりすぐりの写真を投稿したらしい。 さっそ…

次男のデート?

昨夏、希望通り地元の施設に転勤することができた次男だが、就職以来最大のピンチとなってしまった。本人が自分で転職を考えて、母校や施設に相談に行くほど深刻だった。 施設の責任者の人たちと面談したが、仕事ぶりも必ずしも期待通りのものではなかったよ…

九太郎4歳!

我が家の長男猫の九太郎が4歳の誕生日を迎えた。ひとまずめでたい。 妹のボンちゃんとの仲は、相変わらず改善の見込みがない。先住猫との関係は3か月くらいでよくなると聞いてはいたが、結局同居して2年もたつのにお互い気を許さない、一進一退の状況がつ…

続・大関さんの思い出

三年半先に生まれた姉は、子どもの頃の実家の情報を僕よりもずっとたくさん持っていている。電話で大関さんの話を聞くと、僕が知らなかったり忘れていたりしたことを教えてくれた。 大関さんの奥さんは若い頃、踊り子(ダンサー)をしていて、足を悪くしてや…

大関さんの思い出

実家のあった国立は、碁盤の目のように区画された住宅街で、道一本はさんだ向かい側の区画には、都営住宅が並んでいた。小さな木造の平屋が密集していて、その間を細い通路が何本か走っている。下水の匂いがする湿っぽい路地は、子どもにとっては迷路のよう…

さあ、お湯があるよ

僕の実家では、父親が勤めに出るときには家族で見送るのがルールになっていた。家の戸口を出て、けんちゃんの家の脇を歩いて、かわもとさんの家の前の塀のところでこちらを振り返り、左手に姿を消す。我が家の敷地(庭)の中での父のそんな姿が目に焼き付い…

水引と山頭火

昨年の冬から一年ぶりに東京の姉が来福した。僕は、この間、二度姉宅に泊っている。両親が亡くなって、実家も手放してからは、かつて僕の育った「家」の実体は、僕と姉との関係の中にかろうじて存在するのみになった。もしどちらか一方だけになった場合には…

我が家の五大ニュース

50代になって10年連続日記をつけるようになってから、一年の終わりに自分と家族に関する五大ニュースをメモするようになった。年末に時間をとって振り返ることで、ようやくその年の身近すぎる出来事の意味を位置付けて納得できる、ということに気づいた。毎…

猫の近況

二匹の猫はすっかり家族になってしまったので、あらためて記事にする機会も減ってしまった。それだけ日常の暮らしになじんでしまったのだろう。 ふだん家にいてエサなどの世話をする妻とはいっそう親密になって、母子関係みたいだ。妻が机に座って小物などを…

息子と喧嘩する

朝、次男が起きてこない。妻は朝が弱く、僕が寝過ごしても次男が寝過ごしてもまったく頼りにならないが、こちらはそうはいかない。もし職場に間に合わないならば、僕が勤務を午前中休んで車で送らないといけないかもしれない。転勤して4か月。次男も何とか落…