大井川通信

大井川あたりの事ども

九太郎5歳!

僕はずっとペットを飼ったことがなかった。だから、子どものいない夫婦がペットを可愛がっているのを見た時など、子どものかわりに、あくまでも本物のかわりの偽物として、やむなくペットを飼っているのだろうと漠然と感じていた。

失礼な感想を抱いていたものである。

実際に自分が猫を飼ってみて、猫が家族そのものであることを体験することになった。初めて飼った子猫がわずか4カ月でてんかん発作で亡くなったとき、今までの誰との別れよりもたくさんの涙がでた。純粋な別れの悲しみを味わった。

そのあとに飼った猫の九太郎とボンちゃんを通じて、僕の生き物や自然に対する感覚もつくりかえられた。だいぶリフレッシュされたように思う。

近頃冬になると、クマが人間を襲う事件が多発する。クマの保護を訴える少数の人々の声は、その他大勢の圧倒的多数によって「袋叩き」にあう。お前は、自分の家族が襲われたときにそんなことをいえるのか、という問いかけが疑いようのない正論になる。

人間が人間のことをまず第一に考えるのは当たり前のことだ。しかし人間の事情だけですべてを判断していいのか。人間同士の「自由の相互承認」が配慮されたらそれでいいのか。そんなとき、動物(クマ)の側にたって声をあげることのできる人間の存在は大切だ。そういう声をあげられるのが、人間の底力だと思う。

そういう力は、動物が登場人物である絵本を読むことで育てられる。ペットを飼うことでまっすぐに伸びる。

今日で九太郎は5歳。

ということは、まったく同じ日に生まれた競走馬のスターズオンアースも、今日で5歳になったことになる。食っちゃね生活の気楽な九太郎に比べて、スターズオンアースはアスリートとして過酷な生活を送っている。去年の有馬は、圧倒的に不利な外枠から3着に入っている。今年はまたぜひG1レースをとってもらいたいものだ。

スターズオンアースがんばれ。九太郎もがんばれ。