大井川通信

大井川あたりの事ども

日々のこと

次男の居場所

特別支援学校の高等部を卒業して老人介護施設に就職した次男は、四年目の今も、毎日仕事に励んでいる。先日スーパーのレジでバイトをしている中学校の同級生の女の子と話をした妻によると、大学4年生でコロナ禍の就職活動に苦戦しているとのこと。次男も大学…

長男の転職

この9月から、長男が新しい職場で働いている。昨年12月に前の仕事を辞めて、実家に戻ってから、転職に8カ月くらいかかったことになる。二月にコロナ禍が始まり、リーマンショックをこえる経済停滞といわれ、一時は緊急事態宣言で外出すらできないようになっ…

河童忌の一日

昨年は、いろいろな作家の忌日を意識して作品を読むきっかけにしたが、今年はすっかり忘れていた。子どもの頃から頭にあった河童忌になって、ようやくそれを思い出した。 月曜の朝から左ひざが痛くなり、翌日には足をひきずるようになって、数日間安静にして…

親子の刻印

新聞を見ていたら、山家悠平という女性史研究家のインタビュー記事が出ている。山家には「やんべ」という読みが振ってある。比較的珍しい名字だろう。そこに悠という、これまた個性的な漢字が並んでいる。すぐにピンときた。 僕が20代の頃、地域活動で印象に…

一喜一憂

妻が某モールの広場で手芸品を出店するので、その待ち時間、某地方都市に久し振りに出かける。新型コロナの感染の影響が続いている街なので、自然と足が遠のいていたのだ。 開店前から少しだけ並んで、名物の肉焼き飯を食べる。35年前から知っている道沿いの…

革の財布を父の日にもらう

長男が、大学卒業後三年近く勤めた会社を退職して、就職活動を始めた矢先、コロナ禍が発生した。あれよあれよという間に、リーマンショックを超える本当に百年に一度の大不況に突入してしまった。さすがにこんな事態がわかっていたら、前の会社は辞めていな…

誕生日の思い出

今日は、姉の誕生日だから、お祝いのメールをする。 昨日が母親の命日にあたり、姉にとっては、長年苦楽をともにしてきた母親が、自分の還暦の誕生日の前日に亡くなったのだから、どんな思いがあったのだろうか。姉はその年度いっぱいで会社員人生を全うして…

ごわーん ごわーん

我が家にやってきて一年が経った九太郎は、もうすっかり大人の猫になった。体重は3.3キログラム。すいぶんと小柄な猫だ。 昨年までは熱心にやっていたフミフミも、いつのまにか全くやらなくなった。敷布団の上で、一心不乱に両手で交互にシーツを踏みつけて…

九太郎の近況

一歳になって、もうじき我が家に来て一年になる九太郎は、ずいぶん大人になった。そして、すっかり家族の一員という顔をしている。 まず、はっきり家族への対応に序列をつけるようになった。以前は、毎晩、夜中に僕の部屋に甘えにきたものだが、めったに来な…

願わくは花の下にて・・・

例年、サクラの開花はそれなりに気になっていた。満開のサクラには心を奪われたし、それが散るのを惜しむ気持ちもあった。 サクラの開花と前後して、ツバメたちが南国から海を越えてやってくる。彼らの苦労を思いながら、初めの一羽の姿を見るのを心待ちにし…

四半世紀

自分が20歳を迎えた時のことはよく覚えていない。30歳の時も、40歳の時も、もちろんそれなりに感慨はあったはずだが、特に記憶に残っていない。ただ、25歳になったときに考えたことは、はっきり覚えている。 100年という大きな時間の単位の四分の一を生きた…

扉のむこう

九太郎は家の中で飼っているから、家の外の世界に出ることはない。 家族の誰かが外出するときに玄関まで見送りに来たりすることはある。子猫の時は、外に出たがるようなこともあったが、近ごろはそんな素振りを全く見せない。 サッシの窓枠にすわったりして…

九太郎の誕生日

今日は、九太郎の満一歳の誕生日。 猫の誕生日がなぜわかるかというと、ブリーダーの店で生まれた猫だからだ。だから両親もわかっていて、父親のマイケルとも母親のつばきちゃんとも、何度か会っている。種類は、手足の短いマンチカンだ。 一年前までは猫を…

クレープの味

妻から聞いた話。 金曜日の夜は、次男は一駅前で降りて、ショッピングモールの中で夕食をとり、整骨院でマッサージを受けてリラックスする。僕が忘年会だったので、長男の運転でモールの次男を迎えに行き、3人分のクレープを買って戻ったそうだ。 テーブルを…

落とし物シンドローム

妻が彫金教室の帰り、道具や作品をつめたキャリーバックを無くしたと青くなっている。博多駅前広場でイルミネーションを見て、ケーキを買って、駅ビルのエスカレーターに乗っているとき、ふと、キャリーバックを引いていないことに気づいたのだという。中に…

車の販売店の担当が変わる

僕が今乗っているのは、人生で5台目の車だ。以前の上司で、80台以上車を乗り換えたという人がいたが、昔の感覚で言えば、年齢の割にずいぶん少ない台数ということになるだろう。だだ車に対する価値観もずいぶん変わり、今の若い人たちは車を欲しがらなく…

東京経済大学の思い出

京都精華大学のことを調べていて、僕の知っている時代の東京経済大学に少し似ているのかな、と思った。今から40年近く前の東京経済大学に。 東経大は、東京郊外の小規模な私立大学だけれども、個性的で気鋭の研究者がそろっていた。フランス現代思想の今村仁…

僕が『食べる』ときは

僕は、目の前に食べ物があると、抑制がきかずに口のなかに放り込んでしまうようだ。職場の宴会の席では、ほとんどお酒を飲まないから、自分の前の料理を片付けることに専念するしかない。その様子を見ていた同僚から、冗談まじりでこんなことを言われたこと…

僕が『掃除する』ときは

今週末に、長男が帰省する。帰省、というか仕事を辞めて帰ってくるのだ。 仕事の中身や、会社の現状を聞くと、そういう選択肢もありなのかと思う。一つところに長く勤めていることでどうにかなる、という時代ではなくなっている。自分の職業人生の長期的な目…

泉水をぬけて

次男が週末風邪をひいてしまって、月曜日会社を休んだ。夕方施設長さんから携帯に電話がかかってきて、次男が話をしているのを小耳にはさむと、だいぶ良くなったから明日は大丈夫です、と答えている。 まだだいぶ咳がでているのに。次男は正直で駆け引きがで…

九太郎の儀式

明け方、はやく目が覚めてしまって起きだしていると、いつのまにか階下から九太郎がやってきて、ゴロゴロのどをならしている。ふとんがないから困るだろうと思って、横になると、案の定、僕の身体の上にあがってくる。 いつものように、両足で交互にふみふみ…

九太郎のふみふみ

令和最初の日に、我が家にやってきた九太郎は、手のひらサイズで600グラムにもみたなかった。おくびょうで警戒心がつよかったから、同じころの八ちゃんのように自分から寄ってきて甘えるということはなかった。 先月に無事に去勢手術をすませて、体重ももう3…

くまちゃんと九太郎

臆病な九太郎は、僕がいるときしか二階には上がってこない。誰もいない二階で、どしんばたんと音を響かせて運動会をしていたはっちゃんとは、まるでちがう。 だから、座敷猫の九太郎は、一階のリビングやキッチンが中心の狭い世界の中で暮らしている。登場人…

自治会の掃除を忘れる

朝おきると、窓越しに家の真向かいにある小さな公園でにぎやかな人の声が聞こえる。昼でも子どもがめったに遊ばないような小さな公園だ。 しまった。今日は自治会の一せい清掃の日じゃないか。 今さら出ていくわけにもいかない。家のなかで身を縮めて、清掃…

転職問答

A:転職を考えているようだけど、君の知り合いで転職した人の情報は集めているの?成功例とか失敗例とかを聞けば参考になるかもよ。 B:自分のやりたいことがあって転職した人は、だいたいうまく行っているみたいだ。そうでない人の転職後の話はあまり入って…

銀婚式

今日は、入籍してから、25年目の日。区切りがいいから、さすがに意識していて、夜家族で外食にいく。といっても、ふだんより少し予算をかけたくらい。 帰ってから、四半世紀というのには何かあるかな、と思って調べると、なんと銀婚式というものだ。うかつ…

小泉八雲旧家と桂花本店

出張帰り、熊本市街を歩く。修繕中の熊本城を横目に見て、市電を降りる。近くには、五校(旧熊本大)教師時代の漱石と八雲の旧家がそれぞれ保存されているようだが、近い方の小泉八雲(1850-1904)の家の方に立ち寄る。 デパート裏にある街中の公園脇の古い…

哲学カフェに行ってみた

地元で長くやっている「哲学カフェ」があるというので、知人に誘われて参加してみた。おそらく、そういうものを、成立させたり、運営したりするのはとても難しいだろうと予想はしていたが、やはりなかなかストレスのたまる会だった。 一般的な哲学カフェは、…

ハチの次は、キュー

ハチが亡くなったときは、妻はもう猫は飼わない、といっていた。実は、妻はハチとはじめから上手くいっていたわけではない。手術の後遺症で手に傷をつけてはいけない妻は、かんだり、引っかいたりが好きなハチに手を焼いていた。潔癖症に近いところもあって…

あの虹をこえて

妻の携帯電話が鳴る。勤め帰りの次男からのようだ。妻が料理で手が離せないので、僕が取ると、次男の興奮した声が聞こえる。 すごい虹が出ているから、見てみい。 デッキに出ると、まだ明るい夕方の空を、細く強い光の束が、サーチライトのように駆け上がっ…