大井川通信

大井川あたりの事ども

老害 vs. 老害

お盆の週の平日の休みに、いつものようにファミレスに行く。かろうじて職場の始業前の時間だ。寝過ごしたり家でダラダラしたりせずに、朝から計画通りの勉強を開始するのは気分がいい。

ファミレスも平日だからすいている。ところが今日はアクシデントがあった。小太りで禿げた老人(といってもまだ60代くらいで、ラフな格好をしている)が現れて、斜め前の少し離れた席にすわる。テーブルには、ノートパソコンとプリンターが置かれていて、携帯で話しだしたのだ。どうやら、サービスセンターに連絡して、設定か何かの相談をしているらしい。

そういうときは、ヒートアップする。どんどん通話の声が興奮して大きくなるから、僕は、立ち上がって「レストランで通話するのは非常識ですよ」とたしなめた。そのあと店員も声をかけたから、同じような注意をしたのだと思う。

さすがに小声になり、声をひそめるようになったが、結局そのあと一時間は通話を続けていた。僕は、こういう他人の「不正」には神経質な人間だ。勉強に集中できなくなって、店を出ることにした。そのまま帰ればよかったものも、こうした事態を黙認したくはない。

帰り際に、その老人のわきにたって、先ほど注意しましたがと声をかけると、思わぬ反撃を受けるはめになった。通話を禁止する法律があるのか。こどもが騒ぐのはかまわないのか。老人も不意の攻撃に口から出まかせを言わざるを得なかったのだろうが、こんな子供じみた論争にまきこまれたくはない。老人の方からも、あなたと話すことはないと顔をそむけたので、「老害だな」と捨て台詞をはいてその場をあとにした。

しかし、そもそも長時間の読書や勉強でファミレスの席を占拠するのも、ルール違反だ。こちらとしては、混雑の時間をさけたり、昼前には店を出るなど気を使っているつもりだが、それは老人が小声で通話するのと同じ自分勝手な配慮でしかないだろう。

老害だな」という言葉が、自分に返ってくることに気がついた。まさに老害老害の争いでしかなかったのだと。

自宅とその周辺で本来やるべきこと(部屋の片づけや家事、家族との会話、大井川歩きのすべて)から逃げて、快適な環境で好きな勉強にうつつをぬかすという生活態度がいけなかったのだと、ようやく気づく。