外国文学
出版後数年でアメリカで1500万部の史上最大のベストセラーとなり、日本でも1974年に翻訳されて話題になった作品。世界中でヒットしたというものの、日本での当時の販売部数が120万部というから、アメリカほどには受けなかったのだろう。翻訳者の五木寛之があ…
『シッダールタ』を読書会で読む参考資料として、手に取った。文庫で250頁ほどだが、二日ほどで一気に読み切ってしまった。それほどまでに(序盤は)面白く、(中盤以降は)摩訶不思議で、先を読まないではいられないような作品だった。 10歳のシンクレール…
読書会の課題図書で、何の予備知識もなく、読み進めた。ゴータマ・シッダールタがお釈迦様の名前というくらいの予備知識はあるので、釈迦をモデルにした小説と思って読み始めると、第一部(全体の3分の1くらい)まではさほど違和感はない。 ただ第一部の中…
一昨年、読書会でヴァージニア・ウルフ(1882-1941)の『オーランドー』を読んで面白いと思った。その時買って積読になっていたこの文庫本を今頃になって手に取ったのは、知人の英文学者高野さんが今ウルフをまとめて読んでいると聞いたからだ。 読み始める…
ひょんなきっかけで、長年の念願だったウイリアム・フォークナー(1897-1962)の代表作を読むことができた。あやうく本屋で買いかけたが、運よく蔵書の中で文庫を見つけることができた。2000年に「新潮文庫20世紀の100冊」という企画の中の、1932年刊行の一…
読書会の課題図書。ミラン・クンデラ(1929-)は二作目だが、前作よりもかなり読みにくい。自分は本当に小説には向いていない人間だなと実感する。けれど読み終わると、読後感は決して悪いものではなかった。 作者とおぼしき「語り手」が終始前面に出てきて…
読書会の課題図書。人間には仲間と土地が必要だ、という話。 【演劇】 レニーとジョージの(おそらくは不幸な)行く末が気になって途中までは、読むのがつらかったが、ある部分から急に読みやすくなった。カーリーの妻の死の場面のあたりで、これが演劇の舞…
読書会の課題図書。 主人公のオーランドは、16世紀から20世紀までの360年間を生き抜いたにもかかわらず、年齢は36歳。17世紀には、性別が男から女に変わっている。「伝記作家」という語り手の存在が絶えず顔をのぞかせたり、性別の転換がなんの説明もなく告…
ゴールデンウイークだけど、新型コロナ禍で外出もままならないので、書棚から未読の小説を取り出して読む。村上春樹訳。有名な映画も見たことはない。 主人公は、まだ若い「僕」。それなりに楽しかったり不本意だったりする生活の中で、何人かの人たちと知り…
カポーティ(1924-1984)が19歳の時の短編。読書会の課題図書で読んだ新潮文庫の短編集『夜の樹』の中の一篇。 やはりミリアムが何者かということが話題になったけれども、ミセス・ミラーの別人格や 分身として受け取る意見が主流だった。孤独で地味に生き…
読書会の課題図書。ブッツァーティ(1906-1972)はイタリア人作家。カフカの再来とも言われるらしいが、ある辺境の砦をめぐる寓話的な作風で、とても面白かった。 主人公のドローゴは、士官学校を出たあと、辺境の砦に将校として配属になる。砦では、軍隊式…
読書会の課題図書なので、さっと読んでみる。 個性的な人物同士が、せまい温泉町の五日間に、饒舌に自己を語りながら運命的にからみあう、という小説。いかにも作り物めいた虚構の世界にぐいぐい引き込まれるのは、登場人物がそれぞれ、人間の本質の「典型」…
第1部は、完成されて1842年に出版されたものだ。一方、第2部は、1852年の死の直前にゴーゴリが自ら原稿を焼却してしまったため、残った草稿やノートから復元したもので、分量も1部の半分程度である。未完だし、欠落や粗略も目立つ。しかし、通読して2部…
子どもの頃から、ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)が好きだった。なんで好きになったのか、もう覚えていない。隣のいとこの家にあった少年少女世界文学全集で『外套』を読んだためかもしれない。唯一の好きな外国文学の作家で、それでロシア文学の勉強をし…