大井川通信

大井川あたりの事ども

食の話

天神で喜多方ラーメンを食べる

僕のきわめて貧弱なB級グルメ生活においても、それなりのドラマはある。僕が唯一その関わりが自慢できる「すた丼」のチェーン店が福岡天神に出現したこと、餃子の王将が地元に3度目の返り咲きを果たしてくれたこと、トマトラーメンの「発見」等々。 そして…

くりばやしの餃子に歓喜する

僕には食へのこだわりはほとんどない。こだわってもせいぜいB級グルメで、それもごく少数だからすでにネタは尽きている。そう思っていた。 時は35年前にさかのぼる。僕は新採で入った会社を辞めて実家に戻り、八王子で塾講師をやっていた。父親はリーカーミ…

「東京ケーキ」と再会する

東京から九州に住まいを移して30年以上が経ったが、風土や習慣などの違いに気づくことが多かった。お祭りの縁日で、「東京ケーキ」というお菓子が売られているのも、東京ではまったく見たことのない屋台だけに印象に残った。 地元の人には子どもの頃からなじ…

「食い尽くし系」を自覚する

ネットを見ていたら、「食い尽くし系」という言葉に出会った。初めて聞く言葉だが、字面からどういう意味合いで使っているのかはだいたい想像できた。調べてみると、ネットスラングの一つとして、近頃注目を浴びているもののようだ。 家族や友人同士の食事で…

デパートの焼きそばの思い出

子どもの頃、母親の買い物についていくのが楽しみだった。駅前の西友や地元の商店街に行くことが多かったが、休日などには隣町の立川までバスででかけた。立川は駅前にいくつものデパートが並ぶこの地域一の繁華街で、あこがれの街だった。 やがて小学校の上…

拍子木はどこで買えますか?(茶わん蒸し「吉宗」)

長崎市内の商店街を歩き、茶わん蒸しの専門店「吉宗(よっそう)」を目指す。妻のリクエストだったので、僕は前情報なしに来たのだが、江戸時代の商家のような立派な店構えで、行列ができている。 我が家の家風として名店は避けるし行列を待つようなこらえ性…

ハトマメ屋詣で

僕は食に関しては貧しい経験と乏しい味覚しかもっていないことは、今までも書いてきた。しかしガサツな食欲だけはあって、息子からも「食べ放題で食べすぎる(その結果お腹をこわす)」と揶揄される始末だ。 だから、食べたいものといったら、回転ずしとか餃…

小倉でB級グルメする

安部さんの文集の件で、仕事を早く切り上げて、小倉に外田さんに会いに行く。早く着いたので、京町まで歩いて、娘娘に昼食を食べに行く。肉焼き飯を注文。いい年をして、こんなカロリーの高そうなものを昼間から食べていいのかなと思うが、他に食べたいもの…

回転寿司の憂鬱

今年に入ってから、店内での迷惑行為(いわゆるスシローテロ等)がSNSで拡散され、回転寿司の利用客が激減したという話は聞いていた。しかしさすがに客足も戻っているだろうと、恐る恐る土曜の昼時に「くら寿司」を夫婦でのぞいてみたら、すんなり入れただけ…

トマトラーメンの衝撃

今さら、ラーメンに衝撃を受けるとは思っていなかった。 あれほど美味しいと思った家系ラーメンも、どの系列店でもその味を再現してくれない。昔好きだった喜多方ラーメンを東京帰省時には、しつこく食べてみるもののどうもピンとこない。かつては美味しいと…

特別な記念日に何を食べるか

還暦の誕生日は、本人にとってかなり特別な記念日だろう。 成人を意味する二十歳の誕生日は大きいし、それ以降10年ごとの区切りの誕生日にも意味はあるが、次に文化的、制度的に大きな区切りは、60歳の誕生日となる。一線からの引退とか、老人になるとかとい…

いよいよ開店

待ちに待った飲食店の開店日である。緊急事態宣言が解除され、今月から妻の水曜夜のヨガ教室通いが再開したので、その送り迎えをしないといけない。公民館での一時間半の教室の待ち時間の間に、ショッピングモールのカフェで本を読んで時間をつぶしたりする…

ラーメンと皇室

地元のスーパーのフードコート(食堂スペース)の模様替えをしていたが、そこにはある人気中華料理屋とラーメン屋が入ることになった。 中華料理の方は、全国的に人気のある大衆店で、僕も若いころからよく食べている。餃子が有名なあの店で、僕の金銭感覚で…

行きも帰りもホームで食べる

次男は、遠くの街に遊びに行っても、食べるのはいつも駅のホームのラーメンだという。どうしても友人関係や社会体験の広がりがないから、お金があっても同じことの繰り返しになりがちだ。家族で、美味しいお店など教えてあげても、がんこに自分の方針を変え…

すた丼の呪い

スタミナ丼が、僕の唯一愛着のあるB級グルメでありながら、嫌な思い出に付きまとわれていることは以前に書いた。この呪いは、今も解けてはいないらしい。 一昨年、今の地元にすた丼のチェーン店ができたのだが、喜びいさんで食べに行っても、本場の東京の味…

「家系ラーメン」の幻想

味覚とグルメに関してはまるで自信がないと、このブログでも書いてきた。それでも凝り性だから、何かの食べ物に憧れたりすることはある。その場合でも、せいぜいB級グルメなのだが。 家系ラーメンというものを初めて知った時には、まず、その不可解なネーミ…

一喜一憂

妻が某モールの広場で手芸品を出店するので、その待ち時間、某地方都市に久し振りに出かける。新型コロナの感染の影響が続いている街なので、自然と足が遠のいていたのだ。 開店前から少しだけ並んで、名物の肉焼き飯を食べる。35年前から知っている道沿いの…

ラーメン屋の味

僕は、カービィのように食べ物を何でもおいしく吸い込んでしまう人間なので、たいていの食べ物の美味しいか不味いかはあまり気にならない。 うどんとか、カレーとかの味に、そんなに大きな差があるとは思えない。とびきり美味しいとおもうこともあるが、たぶ…

山田饅頭の味

僕は、食欲とか味覚に関して弱点が多い人間なのだが、それを勝手に1960年代の貧しい日本のそれほど豊かでない家庭に育ったためと理由付けしている。 カービィ―のように、意地汚くなんでも吸い込んでしまう話をしたけれど、それと関連したことで、モノの美味…

「なべやきうどん」の味

僕の実家では、今のように外食をする機会はほとんどなかった。時代は高度成長期で、まだ国民の多くは清貧な暮らしにとどまっていて、消費社会なんてものが成立する前だった。 その分、これも多くあったわけではないが、家で食事の準備ができなかったときに、…

すた丼のほろ苦い味

食に関しては知識も味覚もなく、唯一記事にできるB級グルメが「すた丼」だ。今年になってから地元にチェーン店が出店したので、帰省時にねらって食べる必要がなくなった。それで何十年ぶりかで、すた丼発祥の店を訪ねることにした。 国立駅は撤去されていた…

すた丼の味

子どもの頃、質素で堅実な家に育ったので、何でも美味しく残さずに食べるように教えられた。両親とも、戦中戦後の食糧難の時代を経験しているから、食べるモノがあることのありがたさが骨身に染みているようだった。当時の学校給食でも、この精神は教育され…

駅弁の悦楽と失望

旅を楽しむ余裕がないから、各地の駅弁を食べ歩いているわけでもない。半額弁当に血道をあげる人間が、スーパーの駅弁祭りとかでお弁当の最高峰である高額駅弁においそれと手をだせるわけがない。 では、なぜ駅弁なのか。昔、食玩(菓子に添付された玩具)に…

半額弁当の愉楽

ある全国紙の地方版に、こんな記事を見つけた。スーパーの半額シールをはがして別の商品に勝手に貼り直してレジで購入しようとした男が逮捕されたとのこと。まあ店から警察に通報されて逮捕されたのは仕方がないとしよう。しかし、こんな「事件」をわざわざ…

ちくわぶ(竹輪麩)の味

玉乃井に年始の挨拶にうかがって、安部さんと東京の食べ物の話になった。安部さんは、初めは苦手だった納豆も食べられるようになったが、ちくわぶだけはだめだった。あんな不味いものはないという。 僕はショックを受けた。子どもの頃、実家のおでんの具の中…

コロッケとメンチカツ

読書会で林芙美子の短編を読んだ。やはり話題は「貧乏」のことに。そこで、自分の貧乏エピソードを話してみた。 子どもの頃、夕食のおかずなどでコロッケを食べることはあっても、メンチカツを食べる機会はあまりなかった。もしかしたら経済的な事情というよ…