大井川通信

大井川あたりの事ども

一喜一憂

妻が某モールの広場で手芸品を出店するので、その待ち時間、某地方都市に久し振りに出かける。新型コロナの感染の影響が続いている街なので、自然と足が遠のいていたのだ。

開店前から少しだけ並んで、名物の肉焼き飯を食べる。35年前から知っている道沿いの店だけれども、入るのは初めて。想像より脂っこくなくて、食べやすい。感想を少し盛って「噂通り美味いですね」と会計で店の人に声をかけると、笑顔で返してくれる。すた丼みたいなB級グルメには、なぜか魅かれてしまう。

そのあと棚貸しの新システムで評判の古書店をのぞく。土曜のお昼どきだし、店内に明かりはついているのに扉がしまっているのでノックすると、店長らしき若い男がでてきて、「開いてない」「12時半から」と不機嫌そうに言われたのには、唖然とした。いらいらして、もう二度と来るまいと心にちかう。

気をとりなおして、黄金市場に足をのばす。例の「なんもかんも大変」のおじさんを半年ぶりで訪ねるが、いつものシャッター前におじさんはいない。少し離れた場所で花屋をしている娘さんにあいさつして、手土産を預かってもらう。おじさんは元気とのこと。苦労人のおじさんの子どもらしく、さばけて気持ちのいい人だ。お返しに店先の売り物の卵をいただいてしまう。

名物ラーメン店東洋軒の暖簾が真新しく新調されているなんてことに気づきながら、いつも行く和菓子屋へ。季節の梅大福を、家族へのお土産に買う。「看板娘」の奥さんから美味しい食べ方を教わって、僕の気分もすっかり良くなってしまった。

人間の気持ちなんて、ちょっとしたことで上がり下がりする。外面(そとづら)だけはよくていい人を演じがちな僕も、どこかで間違いなく人を不快にさせたりいらだたせたりしているのだろう。いろいろ考えることの多い街歩きだった。

 

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