大井川通信

大井川あたりの事ども

神々

ヒラトモ様の祭壇

以前、ヒラトモ様のお参りをした時に、ふと個人的な遥拝所を作ることを思いついた。年々、里山も荒れて、枯れた竹が道をふさぐようになり、ヒラトモ様を祭る山の頂上へ登るのが難しくなっている。 もうしばらくの間、僕以外で、お参りをしてホコラの落ち葉を…

ゴーストハウスの神様

小泉八雲の「生神」(原題は「A Living God」)というエッセイを読む。 村人を津波から救い、生きているうちに神様としてまつられた村の長者のエピソードがメインなのだが、前半は、神社論になっていて、それがとても面白い。 まず、神社の建物について、そ…

黒尊様考(用山信仰論・その4)

★黒尊様と平知(ひらとも)様という近隣の神様の記録と伝承を組み合わせることで、語られていない平知様の成り立ちを推理してみた。二年前のレポート作成時には、世界的なパンデミックが発生して、再び黒尊様にわずかでも注目が集まるとは思いもしなかった。…

黒尊様考(用山信仰論・その3)

★この調査で知った全国のクルソン信仰の聖地、とりわけ黒尊様と漢字も読みも同じである宮崎県の巨石はぜひ参拝したいと考えているが、実現していない。 【クルソン信仰】 実は、今では、黒尊様の本体は、この霊山から授かった何か実体のあるもの(像、お札等…

黒尊様考(用山信仰論・その2)

★前回紹介したように黒尊様を「くろずみさま」と読む文献もあるくらいで、すぐに黒住教を連想した。このレポート作成のあとにも、市内に古い教会を発見したり、岡山県倉敷にある黒住教本部を参拝する機会があったりしたが、おそらく無関係であるという結論は…

黒尊様考(用山信仰論・その1)

★パンデミックへの恐怖から、クロスミ様に出番をお願いした以上、その神格の正式な説明が必要だろう。2017年の8月に、それまでの調査を簡単にまとめている。その文章を、4回に分けて紹介したい。 ooigawa1212.hatenablog.com 【はじめに】 大井川周辺を歩き…

クロスミ様、出番です

大井の隣村の用山(モチヤマ)には、黒尊(クロスミ)様と呼ばれる謎のホコラが祭られている。江戸時代末に、伝染病を抑えるのに力を発揮したと伝えれる伝説の神様だ。遠い昔話だと思っていたが、この時節なので、お参りにあがる。 前にお参りしたときには、…

身近なことばは4音になる

『日本語をつかまえろ!』(飯間浩明 2019)から。毎日小学生新聞の連載をまとめた本だから、ふつうの日本語論よりも、ずっと身近なやさしい話題が多い。 「あだ名」のトピックで、木村拓哉をキムタク、昔の事例として榎本健一をエノケンと呼ぶことを紹介す…

鳥居の話

元乃隅神社はごく新しい神社だが、その姿には景観の見事さという以上の説得力が感じられる。断崖絶壁の岩場に立てられた鳥居は、参詣者のためのものというよりも、海からやってくる超自然的な存在を迎え入れるためゲートと考えるほうが自然だろう。 諸星大二…

ヒラトモ様と「海竜祭の夜」

諸星大二郎の妖怪ハンターシリーズ「海竜祭の夜」は、加美島という架空の孤島の祭りが舞台になっている。島には安徳神社があり、浜辺には鳥居が並んでいるが、不思議な事にその鳥居は陸に向わず、カーブを描いて再び海に向いている。 海竜祭は、壇之浦で平家…

神々への初詣

正月の旅行から戻って、めまいが再発するなど体調がすぐれず、正月5日になってやっと大井の神々への初詣がかなった。 和歌神社、水神様の前で黙礼して、久しぶりに里山に入る。やはり竹が倒れて道があれている。昨年から息切れ勝ちでもあるし、山の中でたお…

元乃隅神社と諸星大二郎

萩の近くでは、元乃隅(もとのすみ)神社が、観光スポットとして、いつの間にか有名になっている。写真を見ると確かに魅力的なロケーションなので、二日目のメインの立ち寄り先に選んだ。 1955年の創建という新しい神社だが、白狐のお告げによるという稲荷社…

家族旅行と松陰神社

年末にバタバタとホテルを予約して、元日から一泊二日で家族旅行にでかける。家族4人で泊りがけのドライブに出かけるのは、ほとんど10年ぶりだ。長男の高校合格が決まって、そのお祝いもかねて津和野に行ったのが最後だった。それ以降は、子どもたちも自…

恵比須神社の遷座(せんざ)式

旧玉乃井旅館の玄関横に鎮座する恵比須神社。そのホコラの修繕と設置、鳥居の新築が終わり、ご神体を新しいホコラに移す、遷座式が行われた。玉乃井の玄関に紅白の幕を張り、祭壇を設けて、地域の神社の神主さんが祝詞がとなえ、玉ぐしが奉納される。 僕は、…

『ノンちゃん 雲に乗る』 石井桃子 1967

子どもの頃と同じ装丁で、今でも書店に並んでいる懐かしい本。これは姉の本だったから、当時僕は読んではいない。聞けば、良い本だから、と父が姉にプレゼントしたらしい。そんな父の想いを想像しながら、読んでみた。 戦前(昭和10年前後か)の東京郊外に住…

あちこちの南無阿弥陀仏

仕事関連で、一日に二カ所、葬儀に参列した。二カ所とも県内で遠方だったため、文字通り東奔西走した感じで、車の走行距離は250キロメートル以上になった。二カ所とも高齢の実母を亡くされている葬儀で、昨年の僕もそうだったが、同世代は中年を過ぎて親世代…

不空羂索観音の憂鬱

子どもの頃から、お寺が好きだった。近隣の武蔵野の素朴なお寺を自転車でみてまわった。高度成長途上の日本と我が家はいまだ貧しくて、関西への家族旅行などは考えられなかった。 だから、中学の修学旅行での初めての京都、奈良は、どれほどうれしかっただろ…

波切不動明王の由来

津屋崎で玉乃井旅館の玄関先のホコラの修繕に関わっているので、身近な小さな神様についてあらためて考えている。集落では村単位でまつる氏神の他に、村内の組ごとにまつるホコラがある。それよりさらに小さな単位(一族や近隣や家など)でまつる神様となる…

大本教と八龍神社(その2)

大本教と大和良作、栗原白嶺との関係を簡単な年表にしてみよう。 ・大正10年(1921年) 第一次大本事件 ・昭和7年(1932年) 大和良作、栗原白嶺と共著出版。 ・昭和9年(1934年) 大和良作の主導で地元に八龍神社建立。 ・昭和10年(1935年) 12月第二次大…

大本教と八龍神社(その1)

地元の大井川歩きで、思わぬ場所で大本教の名前を聞いたことがある。 大井とは隣村にある地域なのだが、そこは組ごとに庚申塔が残っており、寺社も多く、古い信仰が守られていそうな集落だ。八龍神社という地図にものっている神社があるのだが、近所の人から…

彼女はどうして神になったか?

天理教の教祖中山みきが神がかりをしたのが41歳、大本教の出口なおにいたっては55歳のときである。二人とも、その時までは、農家の嫁や母親として、あらゆる苦難に耐えて、辛抱強く家族の暮らしを支えていた。 何十年という時間の重さは、半端ではない。僕も…

神社という場所

昨日の展覧会評で、神社は非日常の場所であるという、当たり前のことを確認した。問題はその中身である。僕は、大井川歩きで、地元の小さな神社やホコラに足を運ぶ中で、これらの場所の意味を確かめていった。香椎宮のような巨大な神社のもつ意味合いも、か…

内省と「無限の命」

先月、羽田信生先生の講演を聞いて、こんなことを書いた。 仏教の教えは、「私とは何か」という内省に尽きる。「苦」の生活から、内省によって自らの内なる「無常」に目覚め、「無我」の生活を開始する。その内容は、法と一つになり、大きな無限の命とともに…

羽田信生先生のこと

今年も、近所の浄土真宗の勉強会に、米国から羽田信生先生が講義に来られたので、公開講座に参加した。8年前に初めてお話をうかがってから、講義を聴講するのは5回目になるが、そのつど強い印象を受けた。仏教徒でもなく、宗教についても門外漢の僕が、仏…

教祖の自伝

オウム事件の頃だったと思う。高校生の知り合いがいたのだが、彼は、当時オウムのライバル教団と目されていた教団に入れあげていた。今でもそうだが、出版活動を布教の武器にしている団体だ。 地元の進学校に通っているその若い知人には、何回か直接話したり…

ザシキワラシのいる家

我が家には、現在、ザシキワラシがいる。いるかもしれない、とか、いるみたいだね、とかいうことでなくて、あたりまえの事実として、いる。 今朝も、妻が寝過ごしそうになったときに、寝室に誰かがばたばたと駆け込んできて、またばたばたと出ていったので、…

光明遍照十方世界

僕は理屈としては、仏教では浄土真宗や曹洞宗に親近感を持っている。現実の巨大教団のあり方には問題があるのだろうが、それらの宗派の思想は精神性が高く、教えとしてシンプルで、虚飾がないという印象があるからだ。 葬式仏教は、考え方によっては、本来の…

道端の神

大通りの歩道わきに、子どものおもちゃみたいな派手な彩りのオブジェがある。アートによる街づくりとかで設置されたものだろう。 真っ赤な金属の積み木を組み合わせたようで、足下には車輪もついているし、顔の部分には、銀色の球がはめ込んであって、目のよ…

訪問とお参り

大学卒業後、初めに就職した会社でのこと。今なら「朝活」とでもいうのだろうか、支店長が部下を集めて、ホテルの一室で朝食を食べながら、勉強会のようなもの開いていた。営業のたたき上げだった支店長は、自分の体験を交えて面白おかしく営業の「極意」を…

ミロク山でアサギマダラに出会う

「ひさの」で知り合った大正3年生まれのHさんの生まれ育った村を再訪。 ミロク山の急な山道を息を切らしながら登ると、その先に大きな建物ぐらいの岩が露出していた。岩の前面には地蔵がならんでおり、少しくぼんだところに、江戸時代の元号の刻まれた古い…