大井川通信

大井川あたりの事ども

神々

里山の三社参り

元日の夜には、近辺の村社(村の鎮守)の三社参りをしたから、新年最初の連休で、里山の神様への初詣をすることにした。 参道の入り口で、農作業するひろちゃんの娘さんに新年のあいさつ。ヒラトモ様への林道は枯れた竹にふさがれて通行できない部分がある。…

元日の三社参り

夜10時過ぎ、ようやく完成した家族の年賀葉書を投函しに外に出る。今日初めての外出。年賀状は、次男と妻の知人への近況報告がメインで、自分の分はここ数年出さないようにしている。 最寄りの郵便局まで歩いて、ふと近隣の神社にお参りしてみようと思いつく…

『月明学校』とクルソン岩

白髪岳や『月明学校』の舞台の分校に興味をもったのは、その近くの山中にクルソン峡があり、クルソン神社やクルソン岩などのクルソン信仰の遺物があるからだった。だから、『月明学校』の中に「狗留孫(くるそん)神社」の名前が出てきたときはうれしかった…

冬至のお祭り

同じ市にある黒住教の教会で、冬至のお祭りに参加する。実際の冬至は22日だから、参加しやすい休日に設定しているのだろう。 いつもは人気のない教会に、この日ばかりは活気が感じられる。教会長さんも神主のような上下真っ白の正装をしている。義理の娘さん…

庚申塔さまざま(球磨、山鹿)

庚申塔(こうしんとう)は面白い。まず、とにかく数が多い。少し古い町なら、集落ごとにあったりもする。次に、形状も様々だ。とても同じ名称でひとくくりにできる石塔とは思えない。さらに地方ごとに大雑把な特色がある。僕の今の地元は文字塔ばかりだが、…

『日本の近代仏教』 末木文美士 2022

2017年に刊行された『思想としての近代仏教』を再編集して文庫化(講談社学術文庫)したもの。 清沢満之、倉田百三、田中智学、鈴木大拙、家永三郎等の思想や学説のポイントを絞って平易に解説することで、個々の仏教(学)者たちが何を問題とし、どのように…

人吉盆地をめざす

月初の鎌倉に続いて、急に思い立って人吉盆地(球磨盆地)に旅行する予定を立てた。出不精で内弁慶の僕には珍しいことだ。 人吉盆地は、隣県熊本の中でも一番遠いところにあって、ほとんど意識したこともない場所だった。しかし今回調べてみると、僕の興味の…

『おみくじの歌』 平野多恵 2019

詩歌を読む読書会の課題図書。題名を聞いても何のことかわからなかったが、全国各地の神社のおみくじに書かれている和歌を中心にして、おみくじにゆかりの歌を50首集めた解説書になっている。 おみくじには吉凶が書かれているのは間違いないが、和歌があっ…

『民衆宗教と国家神道』 小澤浩 2004

山川出版社の日本史リブレットシリーズの一冊で、100ページくらいのブックレットだが、中身は濃い。大井川歩きの基本書の一つというべき良書で、今回は再読になる。 地元を歩くと、どうしても神社と民間信仰の問題にぶつかる。そうすると、国家神道の負の歴…

黒住教の教会にて

僕が初めに黒住教に関心をもったのは、地元の黒尊(くろすみ)様と関係があるかもしれないと考えたためだ。黒尊様がまつられた幕末の年代と、黒住教の布教の時期は一致するし、黒尊様が「中国地方」から勧請されたという情報と、岡山が立教の地である黒住教…

『黒住教経典抄』 黒住教教学局 1964

以前、仕事で倉敷に住んでいた長男を訪ねた時、たまたま近くに金光教と黒住教の本部があることを知って寄ってみたことがあった。そんなものには興味のない家族とは別れての単独行動だったが。そのとき、黒住教の本部で購入した本。 僕は大井川歩きの経験から…

石崎さん

仕事で福岡県の小郡市に行く。近頃は、出張でも車の運転がおっくうになって、公共交通機関を使うようになったから、駅から目的地までの道を歩くことになった。 街道付近の空き地に大きな石が二つ並んでいて、石のホコラもあり、白い説明板が立っている。それ…

『アメリカで真宗を学ぶ』 羽田信生 2022

今年も近所の浄土真宗の聞法道場(勉強会)で、羽田信生先生の特別講座があったので、申し込んで聴講した。コロナ禍で先生は来日できないから、昨年同様オンラインでの講義だったけれど、力のこもった羽田節を堪能できた。 羽田先生を知ったのは10数年前だが…

教祖の息子

ある新宗教の教祖の長男が、ネットの動画配信者となって教団の暴露をしている。3年ばかり前からのことだが、今回初めていくつかをまとめて見てみた。 組織の内情の暴露といっても、単なる関係者と、教祖の家族しかも後継者として嘱望された長男とでは重みが…

金字塔 その他の塔

何かの業績をほめたたえるときに、「金字塔」という喩えを使う。少し大仰な響きもあるが、ごく一般的な用法だろう。ところが、ふとこの金字塔そのものが気になった。これはいったいどんな塔なのだろう。 無意識のうちにたぶんこんな正解を予想したと思う。昔…

天皇について少し

三島を読んで、天皇についていくつか思い出したことがあるので、それを少し。 30年くらい前だと思うが、ドゥルーズ・ガタリの『アンチ・オイディプス』を翻訳した市倉宏祐(1921-2012)の講演を聞く機会があった。最新流行の思想の話が聞けると思っていたの…

「イエスの方舟」を聴く

職場の上司が、中洲にあるイエスの方舟の人たちのお店「シオンの娘」の常連だったことから、何度かそこに付き合わされたのは、もう10年以上前のことだ。その時は、同じ東京郊外出身の彼女らと、ローカルな情報で盛り上がった。イエスの方舟の教会がかつて国…

『超カンタン英語で仏教がよくわかる』 大來尚順 2016

扶桑社新書の一冊。著者は山口県のお寺に生まれた現役の僧侶で、アメリカでの研究歴をもつ。読みは「おおぎ しょうじゅん」 仏教のキーワードの英訳による解説と、仏教と日本に関する質問と答えの日英対訳、そして有名な三つのお経の漢語、英訳、現代語意訳…

気を取り直してヒラトモ様・ミロク様に初詣する

腰痛も峠をこしたようで、朝暗いうちに起き出して宗像大社に詣でる。まだ車も人もそこまで多くない。コロナ禍以降境内から締め出された夜店の数は少なく、かつて調査した東京ケーキの屋台も来ていない。次男が特等を当てたこともある新春の福みくじを二本引…

冬の霊山

通勤の途中で景色が開けた時、県境に近い英彦山の特徴あるシルエットを遠望することができる。大きく盛り上がった山塊の左隣に岩山の突起が三つ並んでいて、一目見て異様な姿に目を奪われる。さすが古くから修験の山とされているだけのことはある。(ただし…

『いのる』 文・森崎和江 絵・山下菊二 2016

著者の森崎和江さんは、ご近所に住んでいる。著作集がでている著名な文筆家だから、いつかしっかり読もうと思いつつ果たせていない。ずいぶん前になるが、一度ご自宅の前で顔を合わせたので挨拶すると、家に招き入れてもらい、しばらく話をうかがったことが…

仏道の師の話を聴く

コロナ禍で二年ぶりに羽田師の講演会があった。コロナ禍のため、師の来日はかなわず、アメリカからのズームによるオンラインの開催だ。宗門の人たちが60名ほど参加していたが、いつもどおり僕はまったくの部外者として聴かせていただく。 ただ、例年、師は宗…

ヒラトモ様へのお礼参り

コロナ感染症から回復してから、初めてヒラトモ様の里山に入る。参道の整備されているクロスミ様にはお参りをすませたが、夏になって山道がいっそう荒れているはずのヒラトモ様には、遠方からの遥拝しかできていなかったのだ。長雨と猛暑で足が向かなかった…

豪雨のお盆

僕の実家には、お盆という習慣はなかった。両親には多少行事ごとがあったかもしれないが、子どもたちにそれが共有されたりその意味が説明されたりすることがなかったのだと思う。 初詣の習慣もまったくなかったのと同じように、戦中派で戦前の神国日本による…

6月30日

6月は、1日に僕の緊急入院と命の危機から始まった激動の一か月だった。入院中はいうまでもなく、16日に退院してからの後半も、職場復帰やリハビリに神経を使い、仕事でも私生活でも新たな再出発に向けて動き始め、中身の濃い毎日だった。 この先どれくらい生…

ミロク様発見から7年

7年前は大井川歩きを本格的に始め、大井川通信(紙版)を書き始めた年だった。1月20日に里山でヒラトモ様を発見し、以後地元の方からの聞き取りや文献の調査などで、ヒラトモ様の概要を探るのに5月までかかった。そうして7年前の今日、力丸弘さんの証言から…

石鎚山に登る

「ひさの」の好さんが、裏山の山道の整備をして、山頂に鎮座する石鎚神社までお参りできるようにしたという。先日、クロスミ様に案内したとき、用山の人たちが山道を整備して、今でも自分たちの神様の世話をしている姿に刺激を受けたらしい。お父さんたちの…

我が家の屋敷神

【由緒】 大井の神様「ヒラトモ様」を信仰する主人の何某が、里山が荒れる一方で山道がふさがって参拝できなくなるのを恐れて、分霊を願った。ヒラトモ様の祠の近くの岩の欠片(もとはおそらく古墳の石材で、祠の岩と同種のもの)と奉納された木の根の一本を…

大井里山身体見立ての巻

八五郎「おい熊公、お前さんとうとう大井の里山の縦走の山道を見つけたっていうじゃねえか」 熊五郎「八っつあん、さすがに早耳だね。大井林道を上がって、ため池の先の林道の終点の所から、山の斜面をのぼれるんじゃないかと、おれは密かににらんでいた。先…

古事記を読む(中巻)

読書会で、中巻を読む。前半を扱った回は急用で欠席したので、議論に参加できたのは景行天皇からの後半だけだが、簡単にメモしておこう。 まずは、高千穂の宮から、神武天皇(カムヤマトイワレビコ)が、天下を治めるために東征して大活躍をする。道理で、僕…